再興九谷、色絵磁器の値段記す 加賀市の展示館が古文書初確認

AI要約

九谷焼再興の吉田屋窯が色絵磁器の値段を示す古文書を発見。

発見された古文書から、当時の色絵磁器の価格や九谷焼の再興の価値が明らかに。

今年で吉田屋窯再興から200年の節目で、古文書が重要な貴重な貴重な文化遺産と認識。

再興九谷、色絵磁器の値段記す 加賀市の展示館が古文書初確認

  ●再興の吉田屋窯

 江戸後期に九谷焼を現在の加賀市で再興した吉田屋窯の色絵磁器の値段を記した古文書が3日までに、市九谷焼窯跡展示館の調査で見つかった。これまで市指定文化財「吉田屋文書」に陶器と素焼きの値段が記載されていたが、色絵磁器の価格を示す史料の確認は初めて。同館は1枚6匁(もんめ)の「甲鉢(かぶとばち)」を現在の貨幣に換算すると約2万4千円と推定し、当時の再興九谷の価値を知る貴重な史料として常設展示を始めた。

 九谷焼窯跡展示館の田嶋正和館長(68)が3月に小松市で開かれたアンティークオークションで、屏風(びょうぶ)の下張(したば)りに使われていた複数の古文書を購入し、その中から吉田屋窯の「覚(おぼえ)」と題した1枚を見つけた。

 田嶋館長によると、古文書は一部欠損しており、判読できる文字から「卯年(うどし)」の天保2(1831)年に、吉田屋窯の6代豊田伝右衛門(屋号・吉田屋)が大聖寺の十村手代の麦屋久次郎に宛てた価格の見積状の「覚」とみられる。

 古文書には、甲鉢や舟形筆洗い、植木鉢、菊形丼、桜形丼、琵琶形向付(むこうづけ)、角徳利(とっくり)、棗(なつめ)、茶碗、箸立てなど色絵磁器の製品25点の値段が記され、最高額は甲鉢2枚の12匁、最低額は棗の3匁だった。

 当時の1日当たりの人件費は1匁程度とされ、1匁は現在の貨幣に換算すると約4千円と推定される。田嶋館長は「当時の庶民にとって九谷焼の色絵磁器がかなり高級品だったことがうかがえる」と説明した。

 今年は、豪商の4代豊田伝右衛門が文政7(1824)年に再興九谷と呼ばれる吉田屋窯を開窯してから200年の節目を迎える。田嶋館長は「古文書が見つかったのも何かの縁かもしれない。能登半島地震の被災地でも古い屏風やふすまがあれば、できる限り古文書が眠っていないか調べてから処分してほしい」と呼び掛けた。