「琥珀のハチ」...新種を発見 いわき・8700万年前の昆虫化石

AI要約

県立博物館の研究グループがいわき市で発見した8700万年前の昆虫化石が新種であることが判明した。

化石はいわき市のアマチュア化石研究家によって発見され、雌雄が見つかり「チサトムカシホソハネコバチ」と名付けられた。

琥珀から化石を観察することで花と虫の共生関係など、昆虫の生態について新たな知見が得られる可能性がある。

「琥珀のハチ」...新種を発見 いわき・8700万年前の昆虫化石

 県立博物館(会津若松市)の猪瀬弘瑛(ひろあき)主任学芸員(40)が参加する共同研究グループは、いわき市大久町で見つかった琥珀(こはく)に入った約8700万年前の昆虫の化石が、ムカシホソハネコバチの新種であることを発見した。同博物館が2日、発表した。いわき市で琥珀が見つかることは国内では有名だが世界的には知られていないといい、猪瀬さんは「いわきの琥珀が世界で認められる第一歩になる」と話している。

 研究成果の論文は教育実践学研究所の相場博明所長(66)が筆頭著者となり、日本古生物学会が1日に発行した国際学術雑誌に掲載された。

 化石は双葉層群玉山層小久川部層と呼ばれる約8800万~約8630万年前の中生代白亜紀後期コニアシアンの地層から見つかった。発見者はいわき市のアマチュア化石研究家の鈴木千里(ちさと)さん(74)。鈴木さんは約40年前に、林道工事の現場で琥珀を採取した。2022年に県立博物館に寄贈され、研究が始まった。

 昆虫の大きさは0.4ミリほどしかなく、琥珀をスライスして顕微鏡で観察するという。雌雄が見つかり、名称は鈴木さんの名前をとって「チサトムカシホソハネコバチ」(和名)と名付けられた。ムカシホソハネコバチの仲間の化石としては国内2例目で、雌雄で見つかったケースは世界3例目。

採取した鈴木さん、3度目の名前採用

 猪瀬さんによると、中生代白亜紀後期コニアシアンは花が咲き始めた時代で、花が蜜で虫を引き寄せ、虫が受粉を媒介するという共生関係が生まれた頃という。琥珀には花粉も含まれているといい、猪瀬さんは「花と虫の共生関係を知る入り口にもなる」としている。化石に名前が付いた鈴木さんは「恐竜時代の昆虫に名前が付いたことは、大変光栄」と話した。鈴木さんはこれまでにも2回、アンモナイトとオウムガイの発見で化石に名前が付いているという。