浜松市がインド人材官民誘致、受け入れ整備 スズキ/食環境を充実 市など/家族に日本語

AI要約

インド人材の浜松市への誘致が進む。スズキやソミックグループなどが人材採用に注力し、インド工科大卒業生の採用や食環境改善などの取り組みが行われている。

外国人社員の生活サポートが充実。日本語教室や語学支援を通じて、外国人社員の快適な働きやすい環境整備に力を入れている。

浜松市は多文化共生を目指し、外国人材受け入れ環境を整備。インド人を始め、外国出身者向けのサポートメニューを提供している。

浜松市がインド人材官民誘致、受け入れ整備 スズキ/食環境を充実 市など/家族に日本語

 世界トップの人口14億人とその著しい経済成長力で注目されるインド。自動車メーカーのスズキや部品メーカーなど進出企業が立地する浜松市で、インドの高度人材誘致や受け入れ環境整備の動きが進んでいる。市によると、市内に居住するインド国籍者は4月1日時点で554人と前年同期比約250人増加した。市は現地の主要大学と人材交流などの覚書を結ぶ方針だ。インド人材から「選ばれるまち」への布石を打ち、産業成長力の一助につなげる。

 現地の乗用車シェア4割超とトップのスズキは電動化など技術高度化を加速させている近年、デジタル人材確保へ、現地理工系最高峰のインド工科大卒業生を直接採用している。現地子会社との人材交流の活発化も見据え、インド含め外国人材の働きやすい環境整備の一環で配慮したのは「食環境の向上」だ。本社の社員食堂は市内の飲食事業者と協業し、1月から本格的なインドベジタリアン(菜食主義者)料理を提供している。「故郷に近い味で食べやすい」などと好評で、働く意欲の源にしてもらい、能力発揮に期待する。

 浜松、磐田市に拠点を置くソミックグループも、先進技術やICT分野でインド出身者を雇用している。語学支援や住環境など生活サポートに注力している。

 一方、インド人は、ブラジル人など外国出身者約2万9千人が生活する市内ではまだ少数だ。市は「帯同家族の日本語学習は、従業員の仕事の定着に欠かせない」(国際課)として7月上旬から、浜松商工会議所と連携し、インドを含む外国人材の配偶者や子供ら向けの日本語教室を新たにスタートする。浜松国際交流協会、浜松外国人材定着サポート(有限責任事業組合)も支援メニューをそろえる。

 インド南部のSRM大学との交流を生かし、地元企業の人材獲得相談に備える日本貿易振興機構(ジェトロ)浜松貿易情報センターの永盛明洋所長は「浜松地域は市の多文化共生施策とともに、雇用の受け皿となる企業や支援団体が集積しポテンシャルがある。インドの高度人材に世界が注目する中、産官学連携で動きを加速させていくべき」と指摘する。

 <メモ>浜松市によると、1986年に7人だった市内居住のインド出身者は、2008年に152人、18年は220人と段階的に増加している。在留資格では、現地の進出企業とのつながりを背景に「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務」、帯同する配偶者ら「家族滞在」の割合が高いという。