「食事処・のみの郷」6月25日で閉店 国道444号沿い、親しまれた「つんきだご汁」 常連客次々、別れ惜しむ 鹿島市

AI要約

鹿島市山浦の国道444号沿いにある「食事処・のみの郷」が25日で閉店する。看板商品「クジラ入りのつんきだご汁」で親しまれてきたが、従業員の高齢化などを理由にのれんを下ろす。

「つんきだご汁」は地元で昔から親しまれており、常連客が店の閉店を惜しんでいる。店のオーナーも閉店を控え、感慨深い気持ちを語っている。

閉店直前の24、25日には感謝の気持ちを込めてクジラの代わりに鶏肉を使ったつんきだご汁を提供し、多くの人々が最後の味を楽しんでいる。

「食事処・のみの郷」6月25日で閉店 国道444号沿い、親しまれた「つんきだご汁」 常連客次々、別れ惜しむ 鹿島市

 鹿島市山浦の国道444号沿いにある「食事処(どころ)・のみの郷(さと)」が25日で閉店する。看板商品「クジラ入りのつんきだご汁」で親しまれてきたが、従業員の高齢化などを理由にのれんを下ろす。常連客が次々に訪れ、昔懐かしい味との別れを惜しんでいる。

 「つんき」は、ちぎるの方言「つん切る」に由来し、「だご」を手でちぎる意味。県内で昔よく食べられた「つんきだご汁」はずっと店の看板メニューだ。当初は鶏肉を入れていたが、地域の人から「昔ながらのクジラがいい」と要望を受けてメニューに加え、多くのファンを獲得した。

 現在は白川栄子さん(71)と巨瀬恵子さん(73)の2人で切り盛りする。閉店を控えた白川さんは「年配の男性が『母さんの味を思い出す』と涙ぐんだこともあった。頑張ってきてよかった」と振り返る。22日は午前11時の開店と同時にほぼ満席となり、常連の佐賀市の女性(75)は「幼い時の記憶がよみがえった」と閉店を惜しんだ。

 クジラ入りのつんきだご汁の提供は23日まで。24、25日は感謝を込め、具材を鶏肉に変えて1杯300円(100食限定)で販売する。

 同店は2009年、地元住民でつくる能古見地区振興会が、中木庭ダム事務所跡に市が整備した「やまびこ広場」内の施設を借り受けてオープンした。飲食店として活用する人が間もなく決まる予定で、同振興会の中村靖彦会長(72)は「店のつんきだご汁の味を引き継いでくれたらうれしい」と話す。(市原康史)