臼杵藩主正室の「みやび」な婚礼調度、合貝や金箔が施された化粧道具も…「デザイン的にも洗練」

AI要約

臼杵藩主・稲葉幾通の正室・鈼子の婚礼調度を紹介する企画展が開催中。

鈼子と幾通の幸せな結婚生活から幾通の早世までの物語。

展示されている調度や書、絵図など美しさと歴史的価値のある品々。

 臼杵藩主・稲葉幾通の正室・鈼子(1817~53年)の婚礼調度などを紹介する企画展が、大分県の臼杵市歴史資料館で開かれている。稲葉家に嫁いで今年で190年にあたるのを記念した企画で、24日まで。

 同館によると、鈼子は中津藩主・奥平昌高の六女として生まれた。11歳で2歳上の幾通の許嫁となり、1834年(天保5年)に17歳で結婚。2人で酒を楽しむなど幸せな結婚生活を送る中、幾通は28歳で病死した。鈼子は髪を下ろし、幾通の法号の本誠院から1字をとって誠感院と改名。義母と暮らし、夫の菩提を弔った。

 公開されている「破亀甲花菱沢瀉軍配紋散蒔絵婚礼調度」は、貝合わせで使われる合貝や金箔が施された化粧道具、文房具など約180点のセット。縁起が良いとされる亀甲と花菱の紋に加え、中津藩・奥平家の家紋の沢瀉と軍配がデザインされている。調度は所有する女性の没後に形見分けされ、分散することが多いため、まとまって伝わるのは珍しいという。1987年に県有形文化財に指定された。このほか、鈼子直筆の書、古文書や絵図といった13点も並ぶ。

 木本邦治・学術専門員は「工芸品としての美しさから、大名家のみやびな生活を感じてほしい」と話す。母と大分市から訪れたパート従業員(44)は「職人技が施され、デザイン的にも洗練されていると思う」と目を見張っていた。

 開館時間は午前9時半~午後5時半(入館は午後5時まで)。入館料は一般330円、小学生以上が160円。未就学児などは無料。

 問い合わせは、同館(0972・62・2882)へ。