海が近く豊富な水量、でも水源は不明「お鶴が滝」…宮崎県高鍋町に残る美しい娘の悲しい伝説

AI要約

宮崎県高鍋町にあるお鶴が滝の謎を探る記事。滝の水源は特定できず、伝説や地元の話を交えて紹介。

お鶴が滝の水は肥後川を経て日向灘に注ぐが、その水源は謎に包まれている。

伝説によると、滝には美しい娘お鶴さんの悲劇が伝わっており、地元の話として大切にされている。

 国道10号を宮崎県新富町から北進して同県高鍋町に入り、しばらく進むと、左手に滝が目に入る。車を止めて近づくと、15メートルほど落差があり、水量も豊富だ。滝の上部はどうなっているのだろうと、西側に広がる台地へ登ってみたが、やぶや雑木に囲まれて滝口に近付けない。水はどこから来ているのかと周囲を見ても田畑の間を縫うように流れる水路はあるものの、山手まで延びているようには見えない。「海近くになぜ、これほど見応えのある滝が」。興味が湧き、調べてみた。(波多江航)

 滝があるのは海岸線まで500メートルほどの高鍋町南高鍋。町建設管理課に聞くと、「お鶴が滝」という天然の滝という。上永谷地区周辺の田畑を流れる1キロほどの水路は肥後川で、お鶴が滝を経て、東にさらに続き、国道10号とJR日豊線を横切って永谷川と合流し、日向灘に注ぐ。

 ただ、水源は特定できていないという。町の担当者は「農閑期でもかれず、1年を通してあれだけの水量があるのは確かに不思議。台地の湧水も流れ込んでいるのでは」と首をひねる。

 お鶴が滝には、こんな伝説があるという。

 「昔、上永谷にお鶴さんという大変美しい娘が住んでいた。滝の上の岩場で洗濯をしていて、流された洗濯物を取ろうとして滑り、滝つぼに落ちてしまった。村人は大騒ぎとなり、滝つぼや川下をさがしたがお鶴さんを見つけることができなかった。数日後、隣村の日置の水神様の池に息の絶えたお鶴さんが浮いており、村人らは上永谷へ連れて帰り、手厚く葬った。」

 この話は、町教委が1986~96年に地域の高齢者らから聞き取ってまとめた「たかなべ伝・伝」に収録されている。同町が2021年の町制120周年を機に、町広報誌とあわせて、収録されている1話ごとに配布し、お鶴さんの話も知られるようになったという。

 「水神様の池」と思われる場所は現存する。滝から南に約3キロ離れた新富町日置にある湖水ヶ池。周囲約1キロで、生い茂る蓮は6月末~7月に花が見頃を迎える。江戸時代から池で栽培される「水神様のレンコン」が有名な場所だ。