「避難めんどくさい」にならないため 災害は突然に…“心の隙”を知るゲーム 震災経験した大学生が制作

AI要約

東日本大震災を経験した大学生が災害時の心の隙について伝える取り組みについて紹介。

震災経験を元にゲーム制作で地元の魅力を伝える畠山さんの活動に焦点を当てる。

東京での生活と被災地での経験のギャップについて言及し、震災体験を他の地域の人に伝えたいという思いを述べる。

「避難めんどくさい」にならないため 災害は突然に…“心の隙”を知るゲーム 震災経験した大学生が制作

梅雨や台風シーズンに特に気をつけたい大雨、そして、いつどこで起きてもおかしくない大地震。いざ、その場に居合わせても“避難がおっくう”“私は大丈夫”などの考えが頭をよぎることも。東日本大震災での経験をもとにゲームを制作した大学生・畠山瑛護さん(22)は、災害時に生まれる“心の隙”とどう向き合うのか、伝えたいといいます。(news zero 名畑咲希)

当時小学校にいた畠山さん。家族は全員無事だったものの、家が津波によって流されました。

「当時小さかったので、周りに比べると悲観的な感じでもなく、何が起きたか把握できていないような感じ。家の2階部分だけが何百メートルか離れた場所にありました」

畠山さんは元々ゲームをするのが好きでしたが、大切にしていたゲームも、遊び道具も、津波ですべて失いました。

遊び道具の代わりとなったのは、「両親のノートパソコン」。ゲームを失った悔しさなどから、小学校高学年になるとノートパソコンを使って自分でゲームを作るようになったといいます。

震災後、人口減少とともに街が寂れていくのを実感した畠山さんは、武器である「ゲーム作り」で地元・気仙沼の魅力を広く伝える方法はないか考え、2018年夏、初めて自分でゲームを作りました。

その名も「気仙沼クエスト」。気仙沼の街を歩き回り、買い物をしたり市民と会話をしたりするゲームで、町並みや登場する店、街の人たちも現実世界を再現しました。

畠山さん

「今の気仙沼はこうだよ!という未来を見せていきたい、地元の魅力を知ってもらいたいと思って作りました」

大学進学とともに東京へ上京してきた畠山さんは、上京して初めて、自分と被災していない人との間に大きなギャップがあることを実感したといいます。

「震災は僕にとってあまりにも人生を二分するような体験で、『震災前』『震災後』で全然世界や生活が違って、意識せずにはいられない。でも、東京の人たちにとってはずっと地続きで生活が続いているということがすごくカルチャーショックだった」

「地元・気仙沼にいたときは、震災について語ったり表現したりすることに積極的ではなかったけど、“自分の体験をほかの地域の人にも伝えていかないといけない”という使命感が芽生えた」