大江駅に昔の映画館の椅子、レトロな雰囲気ぴったり 鉱山施設→美術館から移設

AI要約

京都府福知山市大江町の京都丹後鉄道大江駅待合室に、昔の映画館の椅子が置かれている。

旧河守鉱山の映画館で使われていたレトロな椅子は駅利用者に利用され、市が保存を検討している。

鉱山の歴史や当時の雰囲気を感じながら、椅子に座ることで思いを巡らすことができる。

大江駅に昔の映画館の椅子、レトロな雰囲気ぴったり 鉱山施設→美術館から移設

 京都府福知山市大江町の京都丹後鉄道大江駅待合室に、昔の映画館の椅子が置かれた。大江山中腹、佛性寺の旧河守鉱山の映画館(旧河守会館)で使われていたもので、4脚1セットになったレトロな椅子。駅を利用する人たちがゆっくり座っている。

 旧河守鉱山は銅を主とする鉱床があり、かつて府内一の銅鉱山として栄えた。映画館は鉱員やその家族らを対象にした娯楽施設として1959年に建てられ、さまざまな作品が上映された。しかし鉱山が73年に閉山となり、映画館も使われなくなった。

 その後は、酒呑童子の里自然環境活用センターの施設名で、体育館や高校吹奏楽部の練習場所などにも活用されたが、雨漏りがするなど老朽化が激しかったため、市が昨年12月に解体。跡地にキャンプなどができる芝広場を造った。

 館内で使われていた椅子は、東京都港区六本木にある森美術館から貸し出しを求める連絡が解体前にあり、市が快諾。昨年4月19日から9月24日まで美術館で開催した同館20周年記念展「ワールド・クラスルーム現代アートの国語・算数・理科・社会」で、座って展示品を鑑賞するために置かれた。

 椅子は昨年末に返却され、市は河守鉱山や映画館の歴史を後世に伝えようと、保存を検討。河守鉱山で採掘された鉱石が旧北丹鉄道(福知山駅~河守駅)で運ばれていたことから、旧河守駅近くの大江駅を設置場所に選んだ。

 椅子は丈夫な作りで背もたれは木製。座面は柔らかく、ひじ掛けも付いていて座り心地が良い。

 設置した福知山市役所大江支所は「この椅子に座り、当時の鉱山の労働者やその家族たちが映画を楽しんでいた姿に思いを巡らせてもらいたい」と話している。