明治モダンなシャンデリア、大理石の暖炉…皇族利用の貴賓室がスタバ新店舗にリニューアル

AI要約

JR神戸駅でかつて皇族が利用した貴賓室がスターバックスコーヒーの店舗として再生された。

貴賓室の風情を残した高級感あるインテリアが話題となり、人気スポットとなっている。

スターバックスは客席数を2倍以上に増やして新店舗を展開し、歴史を受け継ぎながらモダンな雰囲気を演出している。

明治モダンなシャンデリア、大理石の暖炉…皇族利用の貴賓室がスタバ新店舗にリニューアル

JR神戸駅(神戸市中央区)で、かつて皇族が休憩に利用したとされる「貴賓室」が、コーヒーチェーン・スターバックスコーヒーの客席に生まれ変わった。同駅構内の別の場所で営業していたスタバの店舗を、貴賓室のある場所へ移転する形で10日にリニューアルオープン。当時の風情を残したモダンで高級感のあるインテリアがそのまま使われ、早くも話題の人気スポットになっている。

JR西日本などによると、神戸駅は大阪-神戸間の官設鉄道として明治7(1874)年に開業。その後、22年の2代目駅舎の完成に合わせ、貴賓室が設けられた。3代目の駅舎ができた昭和初期に現在の場所へ移設されたと伝えられる。

神戸駅は、東海道本線の西側の終点、山陽本線の東側の起点で、皇族が行幸のための鉄道移動の際に、乗り換えの待機場所として利用されたとされる。昭和天皇も立ち寄られたことがあるとされ、かつては「玉座」もあったという。

平成28年から別の飲食店が客席として再活用していたが、昨年1月に閉店した。一方のスタバは24年から神戸駅構内の商業施設「プリコ神戸」内で営業しており、手狭となったため、同じ構内にあった貴賓室のあるエリアへの移転を決めた。

スタバ広報部によると、新店舗は1、2階合わせて計約330平方メートルあり、客席数は1階24席、2階84席の計108席で、旧店舗の2倍以上に増やした。

このうち貴賓室のスペースは1階の約40平方メートルで、客席が12席ある。高さ約5メートルの高天井から下がる格調高いシャンデリアや大理石の暖炉、歴史を感じさせる褐色の木組みの床など、品の良い瀟洒(しょうしゃ)な貴賓室の調度品や内装が、そのまま今に引き継がれている。

モダンな部屋の雰囲気に合わせ、木製ソファなどの家具を新たに配置。壁にはかつてのJR神戸駅の周辺地図や歴代の神戸駅舎の写真を飾った。2階のアーチ状の窓枠越しに神戸駅のコンコースが見渡せる。

店内では、遠方から来たという客の姿もよくみられ、飲み物を片手にそれぞれ思い思いの時間を過ごしている。貴賓室のカフェスペースを利用していた神戸市中央区の小田千夏さん(49)は「皇族の方がお使いになっていた雰囲気を感じることができた。スタバの落ち着いた空気にとても合っている」とくつろいだ様子で語った。

スタバ広報部の担当者は「歴史を重ねた物とつながる店舗を利用してもらい、その地域の歴史や魅力を、多くの方に知ってもらえたら」と話している。(西浦健登)