いつの時代の話? 「登校付き添い」を求められ、仕事の断念や転校を迫られる母親たち

AI要約

母親たちによる登校付き添い・見守りルールについて、令和時代でも続く問題を取り上げた記事。

母親が仕事と子育ての間で二者択一を迫られる現状を示し、苦悩する母親の実例を挙げている。

地域の慣習や学校のルールが、母親たちに負担をかけることを問題視している。

いつの時代の話? 「登校付き添い」を求められ、仕事の断念や転校を迫られる母親たち

NHKの連続テレビ小説『虎に翼』、皆さんもご覧になっているでしょうか。筆者も毎日夢中です。日本初の女性弁護士となった主人公・寅子が見た“地獄”に震え、「今の時代に生まれてよかった、道を切り拓いてくれた先駆者の皆さんありがとう!」と涙した人は多いと思うのですが。

そんな今、「え、令和になってもまだそんなことあるの?」と思うような話をたて続けに聞いてしまいました。学校や近所の母親たちから、子どもの登校付き添い・見守りルールに従うよう求められ、転校や仕事の断念を迫られる人たちがいるのです。

寅子の時代から約80年の時を経て、産休・育休制度が整うなど職場環境は改善されてきたものの、学校やその周辺にはいまだ「専業主婦前提」の慣習やルールが多々見られます。これでは結局、昭和初期と同様、仕事か子育ての二択を迫られる母親が出続けてしまいます(シングルファザーなど父親が同様の立場に置かれることもあります)。

どうしたらいいのか? まずはどんなことが起きているのか、お伝えできればと思います。

最初に聞いたのは、今年子どもが小学校に入ったという母親・Aさんの話です。Aさんはお子さんが通う小学校に「登校班」があることは以前から知っていたのですが、彼女の居住区では保護者が交代で班の「見守り」を行っていることを、入学後に知りました。

登校班を経験したことがない人は、「せっかく子ども同士で通うのに、なんで保護者の見守りが必要なの?」と思うでしょうが、実は集合場所に来ていない子を確認したり、出発時刻を伝えたりするため、保護者が当番を組んで子どもたちの集合に立ち会うことは割とよくあるのです。保護者が交代で学校まで付き添うケースもたまに聞きます。こういった当番をするのは多くの場合、母親です。

同じ地区の母親たちは、Aさんにも当番をするよう求めてきたのですが、あいにくAさんの仕事は始業時刻が早く、見守りの時間には仕事をしています。ところが「みんなも事情はあるが、やっている」「夫か実家の親に頼めば」などと言われるばかりです。

Aさんの夫は夜勤が主で、親は闘病中です。職場は忙しく、半休や時間休を取ることも困難です。しかし、そんな事情を伝えても周囲の母親たちは納得してくれません。

やむを得ず学校に状況を伝え、個別登校させたいと相談したのですが、校長からは「登校班のことに学校は口出しできない。個別登校させるなら、保護者が学校まで付き添って」と言われてしまいました。

確かに学校が保護者同士のいざこざに口を出しづらいのは分かりますが、でもそこで、保護者に毎朝の登校の付き添いまで命じるのはいかがなものか。登校班も保護者の付き添いもなく、子どもが個別登校している学校はたくさんあります。

Aさんに見守り当番や登校付き添いを強いるのは、退職(転職)か転校を促すのと同じことでしょう。「もう引越しを考えざるを得ない」と、Aさんは悩んでいます。