フルセットの激闘制した一力遼棋聖、華やかに就位式[千春&明夏の女流棋士ここだけの話]

AI要約

ホテル椿山荘東京で一力遼棋聖の就位式が行われ、棋聖3連覇を祝福。

椿山荘は囲碁ファンにとって馴染み深いホテルで、日本庭園も有名。

激しい激戦を経て、一力棋聖が白番の呪いを解き、棋聖位防衛を果たす。

 4月16日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で、一力遼棋聖の就位式が行われました。椿山荘は7年連続で棋聖戦七番勝負開幕局の舞台になるなど、囲碁ファンにとってはおなじみのホテルで、広大な日本庭園も有名です。

 就位式には各リーグの優勝者、立会人、記録、解説を担当した棋士などが参加し、一力棋聖の棋聖3連覇を祝福しました。歴史ある椿山荘のフレンチもいただけるという贅沢(ぜいたく)な式典。素晴らしい会場で夢のような時間を過ごさせていただきました。

 激闘に次ぐ激闘でフルセットまでもつれ込んだ今回の七番勝負。私・安田明夏が大盤解説の聞き手として同行した奈良・興福寺での第2局も大熱戦だったのですが、なぜか1局目から6局目まで白番を持った方が勝つという珍しい展開も話題になりましたね。

 甲府市で行われた最終局で白番になったのは挑戦者の井山裕太王座。対局は序盤からものすごいハイペースで進み、井山先生の仕掛けから、意地と意地がぶつかり合う激しい戦いになりましたが、最後は一力棋聖が“白番の呪い”を解き、棋聖位防衛を決めました。

 就位式での一力棋聖は、入場から退場まで、和装で常に凛(りん)とされていて、とてもかっこよかったです。一力棋聖ファンの方もたくさんご出席されていて、棋聖がお客様の横を通ると、黄色い歓声が聞こえていました(笑)。一力棋聖の師匠である宋光復九段による乾杯の挨拶も、一言一句に棋聖への愛が込められていて、胸が熱くなりました。

 そうそう。式典では、話題の映画「碁盤斬り」の脚本家の加藤正人さんが映画の紹介ムービーとともに登壇されました。草なぎ剛さんが、 冤罪えんざい をかけられて復讐に燃える武士を演じる時代劇で、タイトルから想像できる通り、囲碁が物語の中で随所に登場します。なんと井山王座や藤沢里菜女流本因坊も出演されるとのこと! ぜひ囲碁ファンの方にもご覧いただければと思います。

 最後になりましたが、棋聖戦を長きにわたり主催してくださっている読売新聞様、特別協賛のサントリーホールディングス様、各対局場を提供してくださった皆様、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

安田 明夏(やすだ・あきか)

 囲碁棋士。初段。日本棋院関西総本部所属。2002年8月24日生まれの21歳。兵庫県出身。堀田陽三九段門下。2021年度入段。22年4月から24年3月までNHK・Eテレ「囲碁フォーカス」で司会を担当、同年4月からはNHK杯テレビ囲碁トーナメントの司会を務めている。