民法改正、離婚後の「共同親権」導入でどう変わる?メリット、デメリットは?別れても父母で子育てする共同養育のコツ

AI要約

日本では2024年5月17日に民法改正で「共同親権」が導入され、これまでの「単独親権」制度が変わることになった。

共同親権では父母双方が親権を持ち、重要な意思決定には両親の同意が必要となるが、日常の行為については一方の親が独自で判断できる。

離婚後も父母としての関わりが続く共同親権には賛否があり、施行までに父母は慎重に事前準備をする必要がある。

民法改正、離婚後の「共同親権」導入でどう変わる?メリット、デメリットは?別れても父母で子育てする共同養育のコツ

日本ではこれまで、離婚したら片親が親権を持つ「単独親権」でしたが、2024年5月17日、民法改正で「共同親権」も選べるようになりました。自身の離婚経験から、共同養育を普及すべく、2017年「一般社団法人りむすび」を設立、「離婚の新常識!別れてもふたりで子育て」などの著書を上梓しているしばはし聡子さんに、共同親権や離婚後の両親で子育てをするコツなどについて解説していただきました。

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◆共同親権導入への賛否

日本ではこれまで、離婚後の親権を父母のどちらか一方が持つ「単独親権」でしたが、これを見直し、双方が親権を持つ「共同親権」も選べるようにする改正民法が2024年5月17日に成立しました。

親権とは、未成年の子が社会人になるために養育する親に認められた義務であり権利です。そして、親は子の利益のために適切に親権を行使しなければならないとされています。

これまで、「離婚するとひとり親」という社会の固定観念もあり、離婚後離れて暮らす親子の交流は3割、養育費の支払い率も2割にとどまっているのが現状です。民法改正により、「離婚後も子どもにとって親はふたり」と社会の価値観が変わることに大きな期待を寄せられる一方で、「父母双方の意向が異なる場合には、裁判所が単独親権とすべきか判断する」と定められていることから、「裁判所が適切に判断できないのではないか?」「数多くの調停を行うなかDVや虐待を見極めることは困難なのではないか?」という不安な声も寄せられています。

施行まで2年。子どもがいる父母が離婚を考えるとき、どのようなことを心得ておくとよいかみていきましょう。

◆共同親権になるとどう変わる?

親権は、財産管理権と身上監護権(しんじょうかんごけん)とに分けられています。身上監護権とは、子を監護・教育する義務・権利をいいます。子に対して住む場所を指定できる居所指定権や、子に対して働くことを許可する職業許可権も含まれます。財産管理権とは、子の財産を管理し、子の財産に関する法律行為について代理する義務・権利をいいます。

共同親権になると、進路や転居、生命に関わる医療行為は父母のどちらの同意も必要であり、例外として、「子の利益のため急迫の事情があるとき」や「教育などに関する日常の行為」はどちらかの親の単独で判断できるとされています。

また、親権を父母双方が持つ際に、一方を、子どもの身の回りの世話をしたり教育方針や住む場所を決めたりする「監護者」に指定することができますが、強制ではありません。

共同親権になると離婚後も養育において父母としての関わりが継続していくため、やりとりをすることや顔を合わせることがが困難な関係性の父母おいては単独親権が求められる声も。一方で、離婚後も夫婦は解消しても父母として子育てを分担していきたい、離婚後もお互いが子育てに関わり続ける親の責任を持ち続けてほしいと願う父母においては、共同親権を選択することができるようになります。