消費量が世界1位!「泡」ワイン消費大国・ドイツのスパークリングワイン事情
ドイツはスパークリングワインの消費量世界1位、生産量は世界3位である。
ドイツのスパークリングワインをテーマにしたプレスツアーに参加したライターが、ゼクトの醸造所を訪れる。
ドイツのスパークリングワインは「シャウムヴァイン(Schaumwein)」と呼ばれ、主にリースリングなどのブドウ品種が使用される。
「ドイツのお酒」と聞くと何が思い浮かぶだろうか。
まず真っ先に思い浮かぶのはビール、という方も多いだろう。
ドイツのバイエルン州ミュンヘン市で開催されているオクトーバーフェストが日本でも開催されるようになったのは2003年からと言われており、高品質なドイツビールの美味しさは日本でも馴染みつつある。
しかし実は、ドイツはスパークリングワインの消費量世界1位、生産量は世界3位であることをご存知だろうか。まさに「泡」大国、ドイツである。
ワインをこよなく愛するライターの長谷川あやさんがスパークリングワインを飲みにドイツに行ってきた。「どれもこれも美味しくて、テイスティング時もなかなか専用の容器(スピトゥーン)に吐き出せずに困った(笑)」と語る長谷川さんは、ドイツのワイナリーでどんなスパークリングワインに出会ったのか。
前編ではドイツのスパークリング事情と、実際に行って体感したドイツ最古とされるゼクトの醸造所の歴史についてお伝えする。
「ドイツにスパークリングワインを飲みに行きませんか」という誘いを受け、身を乗り出さんばかりの勢いで「ぜひに!」と即答した。
ドイツのスパークリングワインをテーマにしたプレスツアーへのお誘いで、さまざまな国からジャーナリストと共に、いくつかのワイナリーを巡るという。英語力には自信がないが、なんとかなるだろう。翻訳アプリもあるし!
しかし、スパークリングワインといって、私がぱっと思いつくのは、フランスのシャンパーニュやクレマン、スペインのカヴァ、イタリアのプロセッコなどである。えーっと、ドイツのスパークリングワインって? たしかゼクトとか言うんだっけ?
ちなみに、シャンパーニュ地方はフランスにおけるブドウ栽培の北限であり、ドイツと国境を接している。クリュッグの創業者ヨハン=ヨゼフ・クリュッグ、ボランジェの創業者ヨゼフ=ヤコブ・ボランジェ、ドゥーツの創始者ヴィルヘルム・ドゥーツとペーター・ゲルダーマンなど、ドイツ人が立ち上げにかかわっているシャンパーニュメゾンは少なくない。
そう考えると、俄然、興味がわいてきた!
早速、パソコンでドイツのスパークリングワイン事情について調べてみる。
ドイツのスパークリングワイン=「ゼクト(Sekt)」のイメージだったが、その認識はある意味、正解で、ある意味、間違っていた。
ドイツではスパークリングワインのことを「シャウムヴァイン(Schaumwein)」といい、大きく3種類に分類される。そのなかでもっとも高品質のカテゴリーに分類され、またドイツで生産されるスパークリングワインの大半を占めるのが「ゼクト」である。
炭酸ガスの気圧は20℃で3.5気圧以上、アルコール度数10%以上で、泡はタンク方式か、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式で得られるもの、というのがその規定。炭酸ガス注入はNGだ(なおゼクトの中にも分類があるが、そこまで話を広げすぎると収集がつかなくなるので割愛させていただく(笑))。
ブドウ品種は、主にドイツが誇る白ブドウ品種リースリングを筆頭に、シャンパーニュと同じブドウ品種であるピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネも使われる。ほかの種類のブドウが使用されることもある。