国宝曼荼羅、紫の染料特定 京都・神護寺所蔵

AI要約

京都国立博物館は、神護寺所蔵の9世紀の国宝「高雄曼荼羅」の染料が紫根であることを科学分析した結果を発表した。

紫根は当時高価だったため、大きな曼荼羅に使用されたことは予想外の結果として注目されている。

「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」は空海が関わった最古で唯一の両界曼荼羅であり、金剛界と胎蔵界の2幅で構成されている。

 京都国立博物館などは20日、神護寺(京都市右京区)が所蔵する9世紀の国宝「高雄曼荼羅」を科学分析した結果、生地を紫に染めた染料に「紫根」と呼ばれる材質が使われていたと発表した。平安期の曼荼羅の染料材質が特定されるのは珍しいという。当時高価とされた紫根が、縦横4メートル前後ある大きな曼荼羅に使われたことについて京博は「予想外の結果」としている。

 正式名称は「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」。真言宗の開祖・空海が制作に直接関わった現存最古で唯一の両界曼荼羅として知られる。「金剛界」と「胎蔵界」の2幅ある。あや織りした絹を紫に染め、金銀泥で仏などが描かれている。