秋まで続くグラデーション、超レアな「サルスベリ園」が話題に 福島・二本松

AI要約

福島県二本松市の山あいにある「東和サルスベリ園」では、約5000本のサルスベリが花を咲かせている。全国的に珍しい施設であり、SNSや口コミで注目を集めている。

サルスベリは中国南部原産の広葉樹で、100日間咲き続けると言われる。展望台からは色とりどりの花が一望でき、グラデーションが楽しめる。

サルスベリ園は大槻紘一さんが40年かけて整備した。以来、地元マスコミで紹介され口コミでも評判が広まり、関東地方や山形、宮城からも多くの人が訪れるようになった。

秋まで続くグラデーション、超レアな「サルスベリ園」が話題に 福島・二本松

福島県二本松市郊外の山あいにある「東和サルスベリ園」では、約5000本のサルスベリが花を咲かせている。サルスベリに特化した鑑賞施設は全国的に珍しく、山の斜面が赤やピンク、白などに染まる光景がSNSや口コミで徐々に広がり注目を集めている。

JR郡山駅から北東方向へ約35キロ、車で50分ほどかかる標高約450メートルの阿武隈高地。遠くに那須連山などを望む約4ヘクタールの敷地に、12~13種類のサルスベリが植えられている。色とりどりの花が一望できる展望台に立つと、さわやかな風が吹き抜けていた。微妙に色が異なるサルスベリのグラデーションが楽しめる。

サルスベリは中国南部原産の広葉樹。樹皮の表面がツルツルで木登りが得意なサルでも滑りそうに見えることから名付けられたとされる。漢字で「百日紅」と書き、「サルスベリは100日間、花が咲く」といわれることに由来するという説がある。実際、サルスベリは開花期間が長く、夏から秋まで咲き続ける。

サルスベリ園は近くに住む大槻紘一さん(78)が一人で約40年かけ整備した。大槻さんはかつて、郵便局員の傍ら養蚕と葉タバコを手掛ける兼業農家だった。しかし、時代の流れで国産絹糸の需要は激減。葉タバコも落ち込みが激しく廃業を余儀なくされた。

蚕の餌となる桑と葉タバコを育てた土地は荒れる一方。「何とかしないと…」と考えた大槻さんは、サルスベリに目を付けた。「春は梅や桜などさまざまな花が咲くのに、夏に花を咲かせる木がなかった。暑い時期に山を花で埋め尽くしたいと思った」と大槻さんは振り返る。

以来、仕事が休みの日には山に入り挿し木などの作業を続けた。「多くの人に見てもらいたいという一心だった」と大槻さん。数年後、暑い時期になると花が咲くようになった。サルスベリが群生する珍しいスポットは、地元マスコミで紹介されたり口コミで評判が広がるなど、少しずつ知られる存在になっていった。

最近では関東地方や山形、宮城両県などから足を運ぶ人もいる。大槻さんは「サルスベリの種類の多さに驚く人が多い。訪れる人は年々増えている」と話し「雄大な景色の中で競うように咲く花を楽しんでもらえれば」と笑う。

今年は猛暑の影響が心配されたが、大槻さんは「咲き方は例年と変わらない」といい、今月中旬頃まで楽しめそうという。なお、来場者からは「整備協力金」として入園料400円を徴収している。(芹沢伸生)