【実機拝見】ジェラルド・ジェンタのデザインで一躍脚光を浴びたクレドール“ロコモティブ”。同時期に発表された知る人ぞ知る“KZT”
1980年代製のクレドール“KZT”は、セイコーの高級ラインであり、薄型ケースや特徴的な文字盤が魅力的な国産アンティーク時計である。
デザインは70年代の薄型ラグジュアリースポーツを彷彿とさせるが、ジェンタではなくセイコーの社内デザイナーによる可能性が高い。
ロコモティブと比較すると価格は抑えられており、55万円で入手可能である。
国産アンティーク時計の研究家兼ディーラーとして業界のみならず時計愛好家の間でもいちもく置かれている本田義彦氏。先日編集部に立ち寄ってくれてLowBEATマーケットプレイスに出品する国産アンティーク時計を見せてくれた。その中に興味深いモデルがあったので紹介したいと思う。それは1980年代製のクレドール“KZT”である。
かつてセイコーは、1974年にそれまで “特選腕時計”として展開していた同社の高級ラインをフランス語の“クレドール（「黄金の頂き」の意）”としてブランド化。そして79年には、SSケース、ネジ込み式のリューズと裏ブタを採用し、10気圧防水を実現するなど、薄型ケースを備えた3種類の国産初となるラグジュアリースポーツを発表した。
そのひとつが、2024年に復刻され、時計愛好家を唸らせたロコモティブ（Ref.KEH018）だ。当時のデザインを担当したのはジェラルド・ジェンタ。オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラスのデザインを手がけた、まさに70年代の薄型ラグジュアリースポーツ時計の分野を牽引した人物だ。
そしてここに取り上げたのは、クレドールが発表した3種類のうちのもうひとつで、80年代に作られた“KZT”である。さざ波をモチーフとした文字盤が特徴的で、ロコモティブなどとともに70年代の薄型ラグジュアリースポーツを彷彿とする魅力的な意匠に惹かれる。ただ、本田氏曰くにはデザインはジェンタではなく、セイコーの社内デザイナーによるものだった可能性が高いとのこと。
だとしてもケースのフォルムといい、ベゼルの造形といい、ジェンタデザインに共通する魅力は多い。ちなみに当時に作られたロコモティブの現在の実勢価格は100万円オーバーと高額。対してKZTは55万円とのこと。なお、搭載するのはクォーツムーヴメントのCal.9461だ。
協力◎LowBEATマーケットプレイス
文◎Watch LIFE NEWS編集部
