渋谷区に続き新宿区もハロウィンに「NO」 トー横周辺には予算3000万円警備員100名超対策「在住者の本音」

AI要約

新宿区と渋谷区でのハロウィン対策の動向が注目される中、新宿区が路上飲酒を禁止する方針を示した。

昨年渋谷でのハロウィンイベントが減少し、それに代わり新宿での来街者数が増加したことから、新宿でも厳戒態勢が敷かれている。

区の予算は3000万円を計上し、区民の安全を確保するために警備員や職員が動員される一方、現場では根本的な問題に対する声も上がっている。

渋谷区に続き新宿区もハロウィンに「NO」 トー横周辺には予算3000万円警備員100名超対策「在住者の本音」

「新宿に来なくても結構です、と正直思っています」

 9月10日に開催された会見でこう述べたのは、歌舞伎町を筆頭に東京随一の歓楽街が広がる新宿区の吉永健一区長だ。

「吉永区長は会見で、ハロウィン当日となる10月31日の午後5時から、翌朝5時までの間、区内の一部地域で路上飲酒を禁止とする旨を発表。対象となるのは飲食店がずらりと並ぶ、新宿3丁目から歌舞伎町1丁目にかけての地域です」(全国紙社会部記者)

 ハロウィンの夜へ向けて新宿区が着々と厳戒態勢を押し進める背景には、お隣・渋谷区で起きた変化がある。

「例年、ハロウィンの日の夜には多数の若者が渋谷に押し寄せていました。これを受けて渋谷区も対策に乗り出します。昨年は、9月上旬から“渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません”と書かれた紙が街のあちらこちらに張り出されました」(前同)

 ハロウィン直前となる昨年10月28日には渋谷のアイコンでもある駅前のハチ公像が白い布で覆われ、普段は通行人が行き交うセンター街の中央も31日に仕切りを設置。警備にあたった警察官は通行人へ右側通行を呼びかけた。

「結果的に23年のハロウィンの日の夜に渋谷の繁華街に集まったのは、22年よりも8000人少ない1万5000人。渋谷区の対策が効果を示したのです」(同)

 渋谷でハロウィンナイトを楽しむ人が減少した一方、大幅にハロウィンの日の夜の来街者数が増えたのは新宿だ。

「昨年、ハロウィンの渋谷を避けた観光客など3000人が、新宿駅付近に集結。翌日はゴミ箱をひっくり返したほど大量のゴミが捨てられ、街中に酒の匂いが充満するほどとなりました」(同)

 渋谷区から新宿区へ流れてきたハロウィンの仮装行列。多くの仮装姿の若者が集まり、大量のゴミが捨てられたのは歌舞伎町シネシティ広場、通称「トー横」周辺だ。新宿区危機管理課の担当者に話を聞いた。

「昨年、広場が人でいっぱいになったんです。かなり目立つ状態で、このままでは事故が起きかねないなと。それもあり、今年はハロウィン当日に民間の警備員75名と区の職員30名が警備に当たります」

 2022年には韓国の首都ソウルで、ハロウィンイベントの最中に300人以上の人がドミノ倒しとなる梨泰院雑踏事故が発生。1か所に大勢の人が滞留する可能性がある大規模イベントは、区民の安全を守るためにも厳戒態勢が必要と判断したというわけだ。大荒れの夜になるかもしれない24年の新宿のハロウィン。安全を守るために、区が投じる費用はいかほどなのだろうか。

「区職員が着用するチョッキ代や、ハロウィン期間中の“路上飲酒禁止”を呼びかける広報費用などを含めて3000万円の予算が計上されています。これらは区の財源から賄われます」(前同)

 一方、区の対策に首を傾けるのは歌舞伎町でスナックを営業する30代の女性だ。

「新宿のハロウィンはホストクラブでのイベントが中心。店では10月1日から11月1日まで連日イベントを開催している。2日間だけハロウィン対策をしたところで、何も変わらないよ……。

 路上飲酒を禁止するならトー横キッズをもっと取り締まらないと。子どもが缶チューハイにストロー突っ込んで1年中チューチュー吸ってるせいで街の見栄えも悪くなる。もう少し根本的な対策をして欲しいね」

 今から約1か月半後のハロウィンの日、渋谷や新宿にはどんな光景が広がるのだろうか――。