26年ぶりに復活する「餓狼伝説」、その見どころをプロデューサーに直撃!“新システムの導入”や“一人用モードの掘り下げ”など、気になる新情報も明らかに……

AI要約

SNKの人気格闘ゲーム「餓狼伝説」シリーズの最新作「餓狼伝説 City of the Wolves」が2025年4月24日に発売される。26年ぶりの最新作であり、物語は前作の続きが描かれる。

新機能“REV”システムが導入され、操作性の新規要素を盛り込んでおり、達成感が味わえるようになっている。システムの選択肢としてアーケードスタイルとスマートスタイルが用意されている。

キャラクターの魅力を重視し、ファンコミュニティやストリーマーとのコラボレーションも積極的に行われ、海外ファンとのコミュニケーションも重要視されている。

1991年の誕生から、90年代の格闘ゲームブームを牽引してきたSNKの人気格闘ゲーム「餓狼伝説」シリーズ。1999年の「餓狼 -MARK OF THE WOLVES-」から26年の時を経て、シリーズ最新作となる「餓狼伝説 City of the Wolves」が2025年4月24日に発売される。

すでに歴代の人気キャラクター、ロック・ハワード、テリー・ボガード、双葉ほたる、グリフォンマスク、マルコ・ロドリゲス、B.ジェニー、ケビン・ライアンと、新キャラのプリチャ、ボックス・リーパーの参戦が決定。さらに2024年7月27日、過去作の常連キャラクターであるビリー・カーン、8月21日には新コスチュームを身にまとった不知火舞の参戦が発表されるとSNSでは大きな話題に。

そこで今回、SNKの第一ソフトウェア開発事業部プロデューサー・小田泰之さんにインタビューを実施。本作のシステムや新要素、“格ゲーカルチャー”を盛り上げるためのファンコミュニティやストリーマーとのコラボについて話を聞いた。

■対戦を盛り上げる新機能“REV”システムとは?

――「餓狼伝説 City of the Wolves」では、どのような新機能やシステムが導入されているのでしょう?

【小田泰之】いくつかの新要素をまとめた、“REV”システムという機能を搭載しています。ザックリ説明しますと、簡単操作で派手なアクションが楽しめるシステム……といったところで、新規の方でも覚えやすく、達成感を味わえる機能になっています。

――「ストリートファイター6」では、伝統的な操作方法の“クラシック”と、初心者用の“モダン”という2種類の操作タイプが用意されていましたが、“REV”システムはモダンに近い感覚ですか?

【小田泰之】それに関しては、「餓狼伝説CotW」ではアーケードスタイルと、スマートスタイルという操作タイプを設けています。各タイプの特性は「スト6」のクラシック/モダンと、ほぼ同じ感覚になると思っていただければよいでしょう。“REV”システムは、それなしでも十分に戦えますが、うまく組み込むことで対戦のおもしろさが一回りも二回りもアップする、そんな機能だと捉えてもらえれば幸いです。

――“REV”システムでできることは、いずれも完全新規の要素なのでしょうか?

【小田泰之】完全新規というわけではなく、歴代の「餓狼伝説」シリーズ作にあった機能をピックアップして、それらを現代のゲーム性に合うように作り直したものになります。じつは「餓狼伝説」シリーズは、一部重複はあるものの、タイトルごとにゲームシステムが大きく異なるところも、特徴的なポイントでして。そのなかから評価の高かったものや、改善すればおもしろくなるのに……といったご意見をいただいた要素をブラッシュアップして、“REV”システムに落とし込んでいるんです。

■「餓狼伝説」は“キャラの魅力”をしっかりアピールする

――本作のターゲット層には、どのようなプレイヤーを想定されているのでしょう?

【小田泰之】やはり、いちばん大切にしているのは、長年にわたり「餓狼伝説」シリーズの続編を待ち望んでくださったファンの皆さんと、現役でSNKタイトルを遊んでくださっている皆さんになります。もちろんそこだけでなく、昨今のブームから2D対戦格闘ゲームに興味を持っていただいた新規の皆さんにも「遊んでみたい」と思ってもらえるようにアピールしたいです。そしてプレイ後には、100%満足していただけるゲームを目指して、開発を進めています。

――他の対戦格闘ゲームとの差別化については、どのようにお考えですか?

【小田泰之】明らかに操作性やシステムが異なるタイトルとは、何もしなくても差別化はできますが、もともと「餓狼伝説」は“「ストリートファイター」と似て非なるもの”という立ち位置でスタートしたゲームなので、同作に対しては、その距離感を大事にしています。明らかに違う路線を目指すのではなく、かといってまったく同じ道をたどるわけでもない。そうした距離感を意識しつつ展開していくことが、「餓狼伝説」に求められているもの……という認識です。

それと「餓狼伝説」シリーズは、対戦ツールとして人気があるだけでなく、シングルモードを楽しまれる方が多い特徴的なタイトルですので、そちらのコンテンツも充実したものになるよう、現在開発を進めております。

――ひとりでもがっつり遊べる要素があるのはうれしいですね。

【小田泰之】「餓狼伝説」に限らず、SNK作品はキャラクター人気が高い……といいますか。まずキャラクターに興味を持って、そこからゲームをプレイするユーザーさんが多いので、“キャラクターの魅力をしっかりアピールする”ことにも注力していきます。

■ファンコミュニティやストリーマーとのコラボにも注力

――ファンコミュニティの活性化もゲームを盛り上げていくうえで重要な要素ですが、本作に関してはどのような取り組みをお考えですか?

【小田泰之】SNKのタイトルは国内だけでなく、海外にも熱烈なファンが大勢いらっしゃるので、どの国の方にも楽しんでいただけるよう、コミュニティの展開に関しては日々、最善の形を模索しています。「ストリートファイター」や「鉄拳」は、海外でのコミュニティ形成にもすごく力を入れていらっしゃるので、それらに追いつけるように頑張っていきます。

――日本と海外では、キャラクター人気に差はあるのでしょうか?

【小田泰之】かつてはありましたが、最近はほとんどなくなってきています。ただ直近ですと、B.ジェニーの参戦を発表した際、そのビジュアルに対して海外勢はポジティブに受け取ってくれたのですが、日本勢は少しネガティブな感じで……。きれい系が好きか、かわいい系が好きか、という話になるんですけど、そういったところで温度感の差がわかるのもおもしろい……といいますか。いろいろと勉強になっています。

――まだ先の話になりますが、プロモーションではストリーマーとのコラボなども実施する可能性はありますか?

【小田泰之】そうですね。ぜひいっしょに盛り上げていきたいですし、より良い環境で配信してもらえるよう、サポート体制も取らせていただきたいと考えています。

――注目されているストリーマーはいますか?

【小田泰之】対戦格闘ゲームに携わる者としては、やはりアメリカのストリーマー、マキシミリアン・ドゥードさんの動向は気になりますね。もちろん、彼以外の方の配信もチェックしていますが、対戦格闘ゲームに慣れ親しんでいる人と、そうでない人では、プレイ中に喜んだり、興奮したりするタイミングが微妙に違っていて。“それぞれの層に刺さるポイント”の分析も兼ねて、参考にさせてもらっています。

■「餓狼MotW」のその後を描く物語に期待

――ここまでお話しいただいたこと以外にも、「ここに注目してほしい」という要素がありましたらお聞かせください。

【小田泰之】26年ぶりの「餓狼伝説」最新作ということで、シリーズファンの皆さんにはたいへんお待たせしてしまいました。ただ単に“最新作”というわけではなく、ストーリーにおいても、前作「餓狼 -MARK OF THE WOLVES-」の続きが描かれますので、物語をどのように着地させるか……という点にも注目していただきたいです。

そして、「餓狼伝説」を遊んだことはないけど、さまざまな作品に出張しているテリーのことは知っている……という皆さんには、いよいよ満を持して、ホームグラウンドで活躍する彼の姿を見ていただけるので、気になる方はぜひ、覗きに来てください。

――若い世代には、そういった人が多そうですね。

【小田泰之】それと、3対3で戦う「THE KING OF FIGHTERS」シリーズや、武器を使って戦う「サムライスピリッツ」シリーズは、現行機ですでに新作がリリースされていますが、“素手で戦う1対1の対戦格闘ゲーム”としては、本作はSNKとしてもひさしぶりの完全新作タイトルになります。直感的に楽しめるゲーム性、奥深い駆け引きなど、いずれの要素も徹底的にこだわって開発を進めていますので、遊べば遊ぶほど、戦い方に新しい発見がある作品に仕上がる予定です。発売までまだ日数がありますが、どうぞご期待ください。

――続報にも期待しています!ちなみに、まだ聞くのは早い……と思うのですが、リリース後も長期的なサポートだったり、追加コンテンツなどの展開だったりはあるのでしょうか?

【小田泰之】今作は初期の段階から、発売後の長期的な展開も視野に入れて開発を進めています。長く遊んでいただけるタイトルを目指していきますので、そうした展開にもご期待ください。

取材・文=ソムタム田井