母親が原作、娘が脚本・監督。映画『とりつくしま』制作裏話を東直子さん・かほりさんが語る!

AI要約

歌人・作家の東直子さんの作品を、娘である東かほりさんが脚本・監督を担当した映画『とりつくしま』が2024年9月6日から公開中。映画では死んだ人がモノにとりつき、モノの視点から大切な人を見守るという設定のオムニバス映画となっている。

直子さんとかほりさんは親子で作品を映画化する喜びを共有し、作品に広がりが生まれたことや、作品の映像化に対する期待を語っている。直子さんは原作者として、かほりさんは脚本・監督としてそれぞれの視点から映画制作に取り組んでいた。

直子さんとかほりさんの親子関係が作品に現れており、相談やアイディアの共有がスムーズに行われた。かほりさんは原作を元に登場人物を増やすなどのアレンジを加え、親子ならではの創作プロセスが垣間見える。

母親が原作、娘が脚本・監督。映画『とりつくしま』制作裏話を東直子さん・かほりさんが語る!

歌人・作家の東直子さんの作品を、娘である東かほりさんが脚本・監督を担当した映画『とりつくしま』が2024年9月6日から公開中。亡くなった人がモノにとりついて、モノの目線で大切な人を見守る…という設定のオムニバス映画です。映像化するにあたり東さん親子が感じたことや、制作の裏話などについてお話を伺いました。

映画『とりつくしま』STORY

死んだ人の前に“とりつくしま係”(小泉今日子)が現れ、この世に未練があればモノにとりつくことができると告げる。マグカップになり夫を見守る妻、生前遊んだジャングルジムになった男児、孫にあげたカメラになるが売られていたおばあさん、野球少年の息子を少しだけ見守るために野球で使うロージン(滑り止めの粉)になった母。4つの短編から成るオムニバス。

――母親が原作、娘が脚本・監督という作品はなかなかないと思います。親子で作品を映画化する、されると決まったときにどう感じましたか?

直子さん:決まったときはすごくうれしかったですね。映像化されるということ自体の、自分の作品に広がりができる喜び。そしてもうひとつ、娘がやりたかった仕事と、私のやりたくてやっている仕事が交わることの喜び。「子どもが好きなことで生きている」という、親目線の喜びですね。

「モノにとりついて生前の場所に戻る」という少し変わったこの作品を、娘がどう映像にしていくのかというところに楽しみもありました。

かほりさん:母だけでなく、いろいろな方から「モノ視点なのに、どうやって撮るの?」と何回も聞かれました(笑)。でも私は「普通に撮れるんじゃないかなぁ」と感じていて。視点についてはあまり悩んでいなかったですね。『とりつくしま』は母の小説の中でいちばん読まれている作品なので、そこに少しプレッシャーがあったくらいです。

直子さん:映像化された作品は、望遠レンズでモノから見た視点を一瞬撮っていて、「なるほど、こういう感じか」とスッと入れました。

――映画の中にはお二人が親子だからこそできた、という表現はあるのでしょうか。

かほりさん:脚本に起こす段階からいろいろと相談できたのはありがたかったですね。これは原作者が身近な人だからこそ出来たことだと思います。「ここの登場人物を増やしたいけど、どう?」なんて普通は原作者に気軽に聞けないですから。例えば、ジャングルジムになった男の子の話は、原作よりもかなり登場人物を増やしているんです。

直子さん:相談だけじゃなく、私からアイディアを出したりもしましたね。「お笑い芸人を出したら?」って言ったら、実際に出してもらえたり。

かほりさん:それは私のアイディアだよ! 私はずっと映画に芸人さんを出したかったんだから。最初相談したときなんて、「え?」って言ってたよ。

直子さん:そうだっけ……?(笑) 私も書きたいと思っていた気がするんだけど……。温めていたせいで、自分のアイディアだと思ってしまったのかな。

かほりさん:話しすぎて、どっちが出したのか忘れちゃってるかもしれない(笑)。似ている部分がある親子だからこそ、混ざっちゃったのかな? きっと、似ているからこそ、感じ取れた何かもあると思います。