2日間熱狂の大型eスポーツイベント「RAGE SUPER MATCH」、トップランナーに聞くeスポーツ隆盛の鍵

AI要約

2024年8月3日と4日の2日間に渡り、東京ビッグサイト「Rakuten Optimism 2024」の会場内にて開催されたるeスポーツイベント「RAGE SUPER MATCH」。1日目に格闘ゲーム「ストリートファイター6」、2日目にFPS「オーバーウォッチ2」を競技タイトルにした同イベントの模様を振り返るとともに、RAGE ゼネラルマネージャーの大﨑章功さんにeスポーツイベントの展望を聞いた。

■“お祭り”だから実現した混合マッチ!プロ・ストリーマーの垣根を越えた2デイズ

■「今やっていない人が見ても面白いイベント」を目指して

2024年8月3日と4日の2日間に渡り、東京ビッグサイト「Rakuten Optimism 2024」の会場内にて開催されたるeスポーツイベント「RAGE SUPER MATCH」。1日目に格闘ゲーム「ストリートファイター6」、2日目にFPS「オーバーウォッチ2」を競技タイトルにした同イベントの模様を振り返るとともに、RAGE ゼネラルマネージャーの大﨑章功さんにeスポーツイベントの展望を聞いた。

■“お祭り”だから実現した混合マッチ!プロ・ストリーマーの垣根を越えた2デイズ

2023年に続き2回目の開催となった「RAGE SUPER MATCH」。初日の「RAGE STREET FIGHTER」では、シリーズ最新作「ストリートファイター6」1周年を記念し、腕自慢のゲーマー・ストリーマー・VTuber総勢20名が4チームに分かれた団体戦が行われた。

チームはイベント前の配信で行われた事前ドラフトで結成。各チームの実力が拮抗するなか、優勝決定戦には「TEAM DONPISHIA」と「TEAM YOSHINAMA」が進出した。最後は「TEAM DONPISHIA」副将のCerosと「TEAM YOSHINAMA」たいじが激突し、一進一退の攻防を制した「TEAM YOSHINAMA」が優勝を果たした。

2日目は、RAGEでは初となるタイトル「オーバーウォッチ2」で行われた「RAGE OVERWATCH 2」。同タイトルのリリース以来初となる大型オフライン大会となった。イベントには競技シーン・ストリーマーシーンから様々な顔ぶれが登場し、プレーだけでなくトークでも会場を沸かせた。

豪華ストリーマーが集結した「SUPER STREAMERS MATCH」では、元プロのXQQやrionがその実力を遺憾なく発揮。現役プロと元プロによる混合マッチが行われた「SUPER LEGENDS MATCH」では、現役プロプレイヤーであるFiNN(ZETA DIVISION)がMVPを獲得した。

両日ともに史上最大規模の動員を実現となった同イベント。2日目は7月からオーバーウォッチの競技シーンへ復帰しているta1yoも登場し、「2017年から僕はプロとしてやってきてますが、こんな大きい会場でOverwatchしたのは初めて。お客さんの顔を見ながらプレイすることは自分自身とても大事にしていること。また今後もオフラインイベントあって欲しいし、また開催する時も応援よろしくお願いします!」と、ファンの熱気が直に感じられるオフラインイベントの醍醐味に触れた。

■「今やっていない人が見ても面白いイベント」を目指して

――「RAGE SUPER MATCH」を終えて、現時点での反響を教えてください。

【大﨑章功】「ストリートファイター6」は3月のRAGE STREET FIGHTERで取り上げて、「オーバーウォッチ2」はRAGEでは初めてだったんですけども、どちらのタイトルも大勢のファンの方々にお集まりいただいて、IPホルダーにも非常にご満足いただきいいイベントになったんじゃないかなと思っています。

オーバーウォッチ2は初めての大型オフラインイベントという意味で言うと、来場者層が思っていたよりも老若男女だったなっていう感覚はありました。若い世代の子たちが多かったんですけど、そこに昔からオーバーウォッチを見てきた人たちが比較的含まれているなとはすごく思いました。ストリートファイター6は、盛り上がりがリアルな格闘技と差がなくなってきた、“eスポーツ”が“スポーツ”にものすごく近づいたなっていう体感を得ましたね。

――今回、オーバーウォッチ2をRAGEで取り上げようと考えたきっかけは?

【大﨑章功】RAGEでは今までも、そのタイトルのイベントをどこよりも早くやるみたいなところがあって、今回もRAGEが一番最初にオーバーウォッチ2の大型イベントをやるところに意義を感じたのが採用の一因です。僕たちはeスポーツというものを次世代のエンターテイメントに持っていくことがメインのミッションになると思っていて、どのタイトルであってもオフラインイベントとして成立させたいと考えているんです。

オーバーウォッチ2って、実はリリースしてからこのような大規模のオフラインイベントが開催されたことがなかったんです。熱量の高いコミュニティがあることは理解していたのですが、大型アップデートが入ってから新規のユーザーがぐっと増えたという話を聞いて、このタイミングしかないなと。

――両日とも会場は多くのファンが熱狂していました。タイトル選定の考え方として、今回の2タイトルの魅力はどんなところにあると思っていますか?

【大﨑章功】ストリートファイターシリーズは37周年、オーバーウォッチも2016年にリリースされた1が流行って2が2022年に出たという歴史的な背景が存在して、我々の中ではそこに期待をしている所があって。ナンバリングタイトルとして培われてきたファンがいること、アップデートを繰り返してどんどん洗練されて今の姿があるというのは作品として素晴らしいなと思うところがあります。

もう1つ、ストリートファイターもオーバーウォッチも世界観がとてもきちんと作られているんですよね。それが作品の魅力でもあると思いますし、我々としてもそのIPが持っている世界観をイベントとしていかに表現するかという点はすごく気にかけました。昔好きだった人も、新しく入ってきた人もみんな取り込めるようなものを作れれば、歴史的なものになるかなと。

――たとえば今回のタイトルは「ストリートファイター6」でしたが、イベントとしてはシリーズ全体のファンに届くような内容を目指したというイメージですか?

【大﨑章功】そうですね。今現在ものすごくプレイされている人だけではなく、昔シリーズをやっていたけど今はやっていない人が見ても面白いと思えるイベントであればいいかなとは思っていました。いわゆる「スト2」時代にめちゃくちゃ強かった方だったり、「オーバーウォッチ1」時代にプロだった方を、現役の人たちと合わせて集めたり。かつてのファンを呼び寄せるという意味ではすごく意識をしましたね。

■eスポーツイベントは「有料でも1万人動員」の時代。さらなる盛り上がりの鍵は?

――今回のイベントを見てもeスポーツシーンの盛り上がりを感じました。10年弱「RAGE」を開催されている中で、変化は感じますか?

【大﨑章功】RAGEが立ち上がったのが2015年、イベント開催がはじまったのは2016年からなんですが、当時からオフラインイベントに注力して、イベント数や規模が大きいものを当初から行ってきました。ただ、オフラインのイベントでチケットを買って見に来てもらうという形を日本のeスポーツの中ではなかなか作れていなかったんです。

コロナ禍が明けて2022年にオフラインイベントを再開してからは、数千人、1万人以上の方に有料で足を運んでもらうというeスポーツイベントというものを開催できるようになって、RAGEが一つの歴史の礎を築けたかなと思います。RAGE以外にも世の中にそういったeスポーツのイベントが増えてきたのがこの2、3年だと思うので、僕らにとっても世の中にとってもターニングポイントだったかなと。そういう意味でも、やっぱりオフラインでしか体験できないものを僕らも作り続けないと、この業界がさらに盛り上がってはいかないと思いますし、イベントのブラッシュアップは必要になってくるかなと思っています。

――eスポーツの「オフラインならではの体験」は、生で見るというところにあるのでしょうか。

【大﨑章功】そうですね。スポーツでも他のエンターテイメントの世界でも、やっぱり会場の熱気ってすごく高いですし、同じ趣味嗜好を持つ方々が何千人と集まると、声も自然と出ますし。ユーザーもそこに価値を感じてもらっているのかなと思うので、皆さんが見たいものをまず作れるかどうかは今後も大事になってくると思います。

もう一つ、我々としてはファンの盛り上がりやチケットの収益といった部分と同時にイベントを応援していただく企業も大事で、我々もユーザーの皆様も企業の方々も一緒になってイベント作りを行うのが大切かなと感じています。今回もアクティビティーエリアで本イベントをサポートいただいた企業の商品の体験や、サービスを知っていただく機会を作っていました。「この企業があってこそのイベント」だったり、応援いただく企業のサービスを通じて「イベントに行ってよかった」と思ってもらえるようなものが作れるとすごくよくなるなと思っています。

――業界の盛り上がりという点では、eスポーツ五輪や大阪万博の高校生eスポーツ大会など、eスポーツが世界規模のイベントにも登場するようになりました。こうした時流に「RAGE」として思うことは?

【大﨑章功】RAGEの設立当初からオフラインイベントは大事に作ってきましたし、この界隈の中では規模や数、企画の先進性も認めていただける部分があると思っています。我々としては業界のトップランナーとして、他のイベントから見習われるようなイベント作りはこれからもしていきたいと考えています。

――また、「RAGE」自体が海外に向けて日本のeスポーツシーンを展開するといったビジョンはありますか?

【大﨑章功】日本では約10年ぐらいRAGEとしてイベントを開いてきましたが、やはり新しいチャレンジとして、日本で作れてきたeスポーツのこのムーブメントを海外でも同じように作っていきたいなとは思っています。エリアが変われば、日本とは趣味嗜好の違う方々に向けて、タイトルの選定や企画の内容がすごく変わってくると思いますが、そこで得られる知見も僕らのレベルアップに繋がるかなと思いますし、近いうちにそういったチャレンジをしていきたいなと思っています。

――最後に、eスポーツシーンがさらに盛り上がるために鍵となるポイントを挙げるなら?

【大﨑章功】今のeスポーツ界隈は、コアなファン層を中心としたフェーズで、その盛り上がりはすごく大切です。一方で、いわゆるカジュアルな層、スマートフォンや家庭用ゲーム機でゲームに触れたことがあるという方々にもeスポーツのイベントに興味を持ってもらう、そういう広がりを作っていくのが大事かなと思います。「シリーズ全体のファンに向けて」というのも一つの取り組みですし、RAGEでは以前は1つのイベントの中で複数のタイトルが体験できるという形で、それぞれのゲームのファンが別のゲームのイベントにも触れられるような試みをやっていた時期もありました。今後は、今の時世に合わせた新たな広げ方をトライしていきたいなと思います。