8月30日は「冒険家の日」。堀江謙一の太平洋横断を描いた映画を飾る名曲【クラシック今日は何の日？】
8月30日は、「冒険家の日」であり、その制定理由として、遠隔遠征隊や登山家、海洋冒険家の偉業が挙げられる。
中でも、海洋冒険家の堀江謙一は、太平洋単独無寄港横断に成功し、その航海中の出来事をまとめた手記がベストセラーとなった。
この手記が映画化され、石原裕次郎の主演によって大ヒットを記録し、その際に武満徹が手がけた音楽が名曲として知られる。
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
今日8月30日は、「冒険家の日」です。
制定された理由は、1965年に同志社大学の遠征隊がアマゾン川源流からボート下りに成功したこと。1970年に冒険家の植村直己が、北アメリカ最高峰マッキンリー単独登頂に成功し、世界初となる五大陸最高峰制覇を成し遂げたこと。そして1989年に海洋冒険家の堀江謙一が、世界最小の外洋ヨットで太平洋単独横断に成功したことの3つです。
これらの偉業がすべて8月30日に成し遂げられたことから、8月30日が「冒険家の日」となったのです。
中でも、堀江謙一は、1962年に小型ヨット「MERMAID（マーメイド）」で太平洋単独無寄港横断にも成功。この航海中の出来事などをまとめた手記『太平洋ひとりぼっち』がベストセラーとなり、1963年に映画化されています。
西宮港を出港したマーメイド号が、数々の苦難を乗り越えた末に目的地サンフランシスコに到着する快挙を描いたこの映画は、石原裕次郎の主演によって大ヒットを記録。芥川也寸志と武満 徹の2人が手がけた音楽は、武満自身の手によってコンサート用にも編曲された名曲です。
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
