野草と雑魚の0円フルコースを食べる!ナチュラリスト親子が里山を食べ比べ

AI要約

親子のナチュラリストが野草やエビを採集し、フルコースを作る様子が紹介されています。

野草採集から料理の紹介まで、親子の活動や思いが描かれています。

野草の料理やエビの調理法も詳しく紹介され、アウトドアでの食材の楽しみ方が伝えられています。

野草と雑魚の0円フルコースを食べる!ナチュラリスト親子が里山を食べ比べ

BE-PALでもおなじみの親子、ナチュラリスト・おくやまひさしさんと息子の野生生物研究所・奥山英治さん。おくやまさんが野草を摘み、奥山さんが川でエビを採る。

その成果を持ち寄ってフルコースを作ってもらいました。野草や雑魚のおしゃれな食べ方がわかります!

ナチュラリスト おくやまひさしさん、野生生物研究所 奥山英治さん

自然写真家であり画家として植物図鑑も手がける、ひさしさん。父から実践的自然派英才教育を受けフォールドガイドとして活躍する英治さん。

◆郊外の田や畑で見つかる「0円以上の価値」

野草摘みはさ、季節と場所が主役なんだよ。だから、野草がどんなところに生えているか覚えておくことが大事」

 

とひさしさん。今回訪れたのも、40年以上通っている東松山市のフィールドだ。

「市街地で見つかる草もあるけど、いろいろな種類を集めたいなら、郊外の田や畑の周りがいいね。南側の土手なんて最高だよ」

 

それを聞いた息子の英治さん。

「じゃあ、親父は野草摘んでていいよ。オレはその間に川行ってエビ採ってくるから」

 

いうが早いか、あっという間に姿が見えなくなる。

「あぁ、これこれ」

 

聞いているのかいないのか、シャキシャキ草を摘むひさしさん。英治さんの我が道を行くマインドは、父親譲りなのでしょう。

 

かれこれ1時間ほど。お互い成果を持ち寄る。

「セリとクレソンはおひたしにして、クズの先っぽとクワの葉は天ぷらかな。メインディッシュはツリガネニンジンの根っこを使った味噌焼き」

「根っこ!? なんだそりゃ」

「ばか、山菜の王様だ」

「はいはい。オレは川エビのパスタ。ザリガニは何するか~」

「ザリガニ!? 0円だからって変なもの食わすなよ」

「まあ、騙されたと思って食ってみてよ。絶対、0円以上の価値はあるからさ」

◆見つかった野草はこちら!

・クワ、お茶の葉、ナンテンハギ 、カキの葉、クズ

若葉はコクがあって美味しいナンテンハギは和物に。ほかの葉はアクが抜ける天ぷらと相性抜群。公園や空き地などでも見つけられる。

・セリ

湿地に群生し、古くから冬季のビタミン補給用として利用される。

・クレソン

正しくはオランダガラシ。水辺に生え、消化を促進する。

・タンポポ

年々、根が太く長くなり、粉にしてコーヒーとしても飲まれる。

・ツリガネニンジン

葉は摘むと独特の香りがあるのが特徴。太い根も食べられる。

・ノビル

春先は辛みのある球根を生食できるが、今回は葉の部分を薬味に。

◆野草の見つけ場所と採集

日当たりの良い南側の斜面を探すと、植生豊かで多種の野草が見つかる。

茎の柔らかい新芽の部分を摘む。水を少し入れた密閉保存袋で運搬。

株の周りに円を描くように切り込みを入れて根を掘り取る。穴は埋め戻す。

◆ガサガサでエビ採集

川の下流側に網を据え、上流を波立て追い込む。河岸がベスト。

網に追い込んだ川エビ。調理直前まで川の水に浸けておく。

ザリガニはタコ糸の先にスルメを結びつけて釣り上げる。

◆早速お料理をご紹介!

・野草3種のオードブル

野草の旨みやえぐみをダイレクトに味わう3種盛り。かすかに残るほろ苦さがまた旨い! いろんなおひたしで味比べするのも◎。

・ナンテンハギの味噌和え

茹でた葉をすり鉢ですり潰し、味噌と砂糖で和える。マメ科特有の香りが引き立つ。

・セリとクレソンのおひたし

野草はクセの弱いものから順に茹でると香りが移らない。醬油や胡麻味噌でいただきます!

・タンポポのきんぴら

ひげ根や皮を取り除いたら、大きさを切りそろえる。作り方はゴボウのきんぴら同様に。

・ツリガネニンジン根の味噌焼きサラダ

トトキと呼ばれる野草食の王様(ひさしさん曰く)。繊維豊富なので、サキイカのように切り裂いて食べる。ほかにない不思議な食感と味。

1  ひげ根を取り除いてきれいに洗ったら、縦に割り、木槌やすりこぎで平たく叩き潰す。

2  片面に味噌を塗り、両面を弱火でこんがり焼く(味噌の面から)。焼くと嫌なにおいも消える。

・クレソンの香り高いスープ

甘みのあるクレソンを使ったポタージュスープ。茎、葉、花と全部使える。野草味とシャキシャキ感が残るようにほどほどに潰そう。

茹でたクレソンをすり鉢ですり潰す。鍋に入れて牛乳で延ばし、コンソメと塩で味を調える。

・ザリガニの香野草天ぷら添え

体長10cmほどのザリガニから採れる身は、3㎝ほどと意外に小さいが繊細であっさりしていて食べやすい。ほろっと苦い野草といただきます!

1  沸騰した湯で赤く色が変わるまで塩茹でする。身だけ取り出すので、泥抜きしなくてOK。

2  頭とハサミをはずしたら殻を剝く。殻や頭は炒めて水で煮込めば、出汁を取ることも可能。

3  背中側に包丁で切り込みを入れ、背わたを抜く。このひと手間で美味しく仕上がる。

◆ノビルを散らした川エビの和風パスタ

殻ごとカラッと素揚げした川エビの風味と香ばしさが堪らない! クレソンの苦みを加えて奥深く、小ネギ代わりのノビルの葉も効いた日本の川パスタが完成~。

1  川エビは水でよく洗い、水分をしっかり拭き取る。180度Cの油でからっと揚げ塩をふる。

2  茹でたパスタ&クレソン、川エビを和え、白出汁と醬油で味付け。仕上げに茹でたノビルの葉を。

※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎

(BE-PAL 2024年7月号より)