親は「保護ネット」になって待つ ミュージカル俳優・井上芳雄さんが語る子育て論

AI要約

井上芳雄さんは、25年のキャリアを持つ“ミュージカル界のプリンス”として活躍しているエンターテイナーです。

才能とは、苦手な部分を補ったり、新たな挑戦につなげるための基盤であり、技術の重要性も強調しています。

日本のエンタメ界が才能重視であるのに対し、韓国では技術を論理的に学ぶ取り組みがあることを指摘しています。

親は「保護ネット」になって待つ ミュージカル俳優・井上芳雄さんが語る子育て論

東京藝術大学在学中にミュージカル俳優としてデビューした井上芳雄さんは、「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれる俳優となり、数々の名作に出演してきました。現在は活動の幅をさらに広げ、舞台にドラマにバラエティーにと、多様なジャンルで活躍しています。エンターテイナーとしてのキャリアも約25年となり、45歳を迎えて「人生折り返し」と語る井上さん。その仕事や子育てへの思いを聞きました。

――井上さんはいろいろな分野で活躍されていて、とても多才に見えます。

今はミュージカルのお仕事と同じぐらい、話をする仕事をしています。でも初めて挑戦した時は全然うまくいかなくて、自分には「話術の才能」はないんじゃないかと思ったんです。悔しかったですね。その思いを糧に、必死で学んできました。最初は歌が得意で世に出ましたが、実際は名前が知られるようになってから新たにチャレンジしたことのほうが多いんです。何かの結果の上に、また別の新たな挑戦が積み重なっていく。仕事をするってそういうことなんだな、と感じています。

自分の持っている才能と、自分がやりたいことが合致することはむしろ少ないでしょう。ミュージカルもいろいろな力が求められますが、歌唱力も演技力もダンス力もすべて完璧な人はいません。才能とは、自分の苦手な部分をアシストしたり、新しいことを得たりするための基礎のようなものかもしれません。それに、最近は技術の大切さも実感するようになりました。

――技術は芸術やエンターテインメントなどの表現にも当てはまりますか。

そう思います。ミュージカルや音楽の世界でも、若い時に安定して表現できる技術が身につけられたら、それは強みになりますよね。例えば韓国のエンタメ界では、欧米からも積極的に吸収して、表現の技術を論理的に学び、システマチックに教育しています。日本は才能に比重を置きがちで、神童みたいなタイプをありがたがってフォーカスしてしまうところがあります。よく「見て盗め」と言いますが、それはとても時間がかかることです。