セイタカアワダチソウって花粉症の原因なの?外来雑草の駆除法と観察のコツ
セイタカアワダチソウは、黄色い花が印象的な大型の雑草で、日本全国に分布し、道路や空き地など身近な場所に生えています。
セイタカアワダチソウは種子だけでなく土中の茎からも増殖する多年草で、種子数は膨大です。戦後の土地造成などで急速に生育地を広げました。
一時期、花粉症の原因として誤解されたセイタカアワダチソウですが、実際には関係ないことが分かり、最近では都市開発などで生育地が減少しています。
名前は知らなくても、よく見かける雑草ってありませんか? 今回はそんな雑草の中から、セイタカアワダチソウの特徴と見分け方、活用法や駆除法を紹介します。
セイタカアワダチソウは、河川敷や土手、草っ原や休耕地などによく生えていて、人の頭を越えるくらいに成長していることもあるトールサイズ雑草です。
まずはセイタカアワダチソウの基本情報からご紹介しましょう。
◆セイタカアワダチソウの特徴とサイズ
セイタカアワダチソウは黄色い花が印象的なキク科の多年草で、草丈が1~2メートルになる大型の雑草です。
日本全国に分布し、生育場所は道路や線路の脇、河川敷、空き地など非常に身近な場所なので、近所を歩けば、どこかに生えているという存在です。
とはいえ、セイタカアワダチソウは花が咲いていないと案外地味なので、見つけにくいかもしれません。
◆見分け方と観察のポイント
セイタカアワダチソウは、6月頃になると、高さが1メートル前後に成長するので、だいぶ見分けやすくなります。
また、葉や茎を触るとヤスリのように表面がザラザラしているのも、見分けるポイントです。肌の弱い方は、充分に気を付けてください。
そして、茎は、すだれに使われることもあるので、かなりしっかりとしています。
香りは、同じキク科の春菊にやや似ていますが、春菊よりは控えめです。
◆別名と花言葉
セイタカアワダチソウの花言葉は「生命力」や「元気」で、生育旺盛というイメージがそのまま反映されているようです。
セイタカアワダチソウには、「セイタカアキノキリンソウ」という別名があります。「セイタカ」は「背高」のことで、文字通り、草丈が高くなることを意味しています。
「アキノキリンソウ」という植物も存在し、セイタカアワダチソウと同様に黄色い花を咲かせますが、主な生育場所は山地や草原なので、あまり見かけません。
セイタカアワダチソウは、北アメリカ原産です。大正9(1920)年に採取された標本が残っていることから、明治時代に持ち込まれて、その後、日本に定着したと考えられます。
セイタカアワダチソウは、土中に残った茎や根から毎年発生する性質を持つ植物(多年草)です。つまり、種子で増えるだけではなく、土の中にある茎(地下茎)からも増殖します。
そして、1個体あたりの種子は数万から100万粒という、ものすごい数になります。
太平洋戦争以前はそれほど目立つ存在ではありませんでしたが、戦後に、日本各地で行われた大規模な土地の造成とともに、生育地を急速に拡大しました。
また、九州などでは閉山した炭鉱跡に群落が出現したことから、「閉山草」とも呼ばれていました。
戦後になって急に増加した理由として、アメリカ軍の物資に付着した種子が原因となったという説もあるようですが、その証拠はありません。
◆花粉症騒動とバッシング
1970年代には、セイタカアワダチソウが花粉症の原因と考えられて、「悪の草」や「害草」という扱いを受けています。
その後の調査の結果、花粉症の原因ではないことが分かり、一連の騒動は落ち着きました。
現在は、1970年代と比べると、セイタカアワダチソウへの関心が薄まっているようです。その背景には、都市部の開発が進み、セイタカアワダチソウの好む空き地が少なくなったということが考えられます。
もちろん、セイタカアワダチソウは今でも様々な場所に生育しており、街中でも普通に見ることができます。街中では、花を咲かせる前に刈られることが多いことから、単に目立っていないだけで、昔と比べてそれほど減少していないのかもしれません。
雑草が増えたか減ったかを判断するのは難しいのですが、日本人がセイタカアワダチソウの育つ風景に慣れてしまったということもありそうです。