フワちゃんも誤爆…オリンピックとSNSの怖さ【「表と裏」の法律知識】

AI要約

オリンピック期間中にSNS上での誹謗中傷が相次いでおり、日本オリンピック委員会がマナーを求める声明を出すなど対応が行われている。

選手や芸能人への誹謗中傷は法的責任を追及される可能性があり、SNS上の投稿が人の命に関わるリスクもあるため注意が必要。

自分の言葉の影響力を自覚し、責任を持ってSNS上での発言を行うことが重要だ。

フワちゃんも誤爆…オリンピックとSNSの怖さ【「表と裏」の法律知識】

【「表と裏」の法律知識】#246

 パリで開催中のオリンピックが盛り上がる裏で、選手や審判への誹謗(ひぼう)中傷が相次いでいます。日本オリンピック委員会は、投稿する際のマナーを求める異例の声明を出し、侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容に対しては警察への通報や法的措置も検討すると発表しました。

 芸能界でも、オリンピックに絡めたやす子さんの「やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆優勝でーす」というポストに対し、フワちゃんがまさかの誤爆ポストをし、大騒ぎになっています。

 6日には、パリパラリンピック、アーチェリー日本代表の選手が同じ競技のアスリートのブログに匿名で書き込みを行い名誉を毀損したとして、124万円の賠償を命じられたというニュースもありました。今回のオリンピックは、SNS上でのモラルを改めて問われるきっかけとしても注目を集めています。

 SNS上の誹謗中傷は、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)として刑事責任を求められたり、民法上の不法行為(民法709条)として慰謝料を請求されたりする場合があります。侮辱罪に関しては、2年前の令和4年の改正で刑罰がこれまでより重くなり、時代の流れとともに罪の重さは変わっています。

「批判されるようなことをしたのだから叩かれて当たり前」といった価値観や、歪んだ正義感は法律の世界では通用しません。また「匿名だからバレないだろう」「削除したから大丈夫」という考えも“開示請求”が広く用いられるようになった今では通用しません。たとえ批判の内容となった事実が真実であったとしても、冗談であったとしても、人の感情を傷つけて許されることはないのです。SNS上の誹謗中傷をきっかけに自ら命を絶ってしまう人もいます。投稿ひとつで人の命に関わる場合があるのです。気軽に自分の意見を発信することができる今だからこそ、自分の言葉の持つ影響力を自覚し、責任を持って発言をするよう心がけましょう。

 ──表現の自由を履き違えず正しく表現できる人は皆優勝でーす!!

(髙橋裕樹/弁護士)