「事前に知っておけば、防げたのに…」後悔しないためにも妊娠前のカップルに知ってほしいこと【専門家】

AI要約

プレコンセプションケアは、妊娠前の健康状態を整え、健康な赤ちゃんを産むための取り組みであり、今ではすべての人の健康や幸せを目指すものとなっている。

TOKYOプレコンゼミは、妊娠を考えている人にとって有益な情報を提供するセミナーであり、妊娠・出産前の支援の一環として東京都が提供している。

妊活を始める際には、理論的には受精の14週間前から取り組むと良いが、いつ妊娠するかはわからないため、妊娠を考えたらすぐに始めることが重要である。

「事前に知っておけば、防げたのに…」後悔しないためにも妊娠前のカップルに知ってほしいこと【専門家】

生殖年齢にあるすべての人の健康を推進し、妊娠したい人には妊娠前の準備ができる「プレコンセプションケア」。医療施設でのヘルスチェックだけではなく、自治体や学校での教育活動も始まっていて、東京都が定期的に開催しているセミナー「TOKYOプレコンゼミ」も、その一つです。

妊娠前の悩みについて詳しい出産ジャーナリストの河合蘭さんが、TOKYOプレコンゼミ講師の三戸麻子氏(国立成育医療センター周産期・母性診療センター母性内科)に、これから妊娠したい人が知るべきこと、やるべきことは何かを聞きました。

――「プレコンセプションケア」とは何でしょうか。

三戸先生(以下敬称略)「コンセプション」は「妊娠」を意味する英語ですので、「プレコンセプションケア」とは、もともとは妊娠前の健康状態を整え、健康な赤ちゃんを産むためのものでした。たとえば、妊娠したい人が十分にとるべき栄養素として葉酸があります。プレコンセプションケアは、歴史的には赤ちゃんと妊産婦さんの健康改善から始まったので、初期のプレコンセプションケアでは、このことを重視していました。葉酸が不足していると赤ちゃんが二分脊椎(にぶんせきつい)という病気にかかりやすくなるためです。

しかし今は、妊娠する・しないにかかわらず、すべての人の健康や幸せをめざしたものになっています。

――「TOKYOプレコンゼミ」について教えてください。

三戸 「TOKYOプレコンゼミ」では、妊娠したい人がとくに知っておいてほしいことを、医師が講義形式でお話ししています。東京都が妊娠・出産前の支援の一環として提供するものです。都内在住の18歳~39歳の人が受講対象です。これを受講した人は「AMH検査」、経腟超音波検査、精液一般検査等の助成金が申請できます。AMH検査は、卵巣に残っている卵子の在庫を調べる血液検査です。

TOKYOプレコンゼミは毎月1回開催していて、今年6月開催分までの申込者は900人を超えています。

――私も一度見学させていただきましたが、カップルで受講する人がたくさんいました。これは、妊活を始めようとしているカップルにとって、いいキックオフになると思います。

三戸先生 はい。1人でも、カップルででも受講できますし、会場に行きにくい場合は自宅からオンラインで受講することもできます。前半は産婦人科医が妊娠について医学的なお話をして、そのあとで私が毎日の生活の中で気をつけたいことを解説します。

――「妊娠の前に気をつけたいこと」は、妊娠するどれくらい前から実施すべきでしょうか。

三戸 理論的には受精の14週間前から取り組むといいと言われています。ただ、妊娠はいつするのかわかりません。ですから、妊娠したいと思ったら、すぐに始めてください。

受精卵は、親の胎内の環境に影響を受けます。赤ちゃんの臓器の中には、妊娠のごく初期に完成するものがたくさんあります。母親が妊娠に気づくころには、体のいろいろなことがすでに決定しています。