ブランド史上初のブレイキン用シューズ 「ナイキ ジャム」の全貌

AI要約

ブレイキン専用シューズ「ナイキ ジャム」の開発プロセスについて紹介される。

ブレイキンの起源や要素、歴史、カルチャーについて説明される。

ブレイカーの動きや好みを研究し、ナイキが製品開発に取り入れたテクノロジーについて述べられる。

ブランド史上初のブレイキン用シューズ 「ナイキ ジャム」の全貌

今夏のパリ五輪で新競技として採用されたダンススポーツ、ブレイキン。ナイキがブレイキン専用シューズとしてリリースしたのが「ナイキ ジャム」だ。「ナイキ ジャム」は、NSRL(Nike Sports Research Lab)で6年の開発期間を経て生まれたという。ブレイキン専用シューズには、一体どんなテクノロジーが秘められているのだろうか。

ブレイクダンスとも呼ばれるブレイキン。その起源は1970年代初頭のアメリカ、ニューヨークのサウスブロンクス地区。ギャング同士の抗争によって人が死ぬこともあったなか、「暴力ではなく音楽で勝負する」とDJでもあったギャングのボスが提唱。向き合って踊るダンスバトルのフォーマットが誕生したと言われている。

ブレイキンには音楽を担当するDJと進行役のMCがおり、ブレイカー(ダンサー)は音楽に合わせて即興でダンスを披露。その創造性を競い合う。ブレイキンにはさまざまな動きがあるが、大きくTOPROCK(トップロック)、FOOTWORK(フットワーク)、POWER MOVE(パワームーブ)、FREEZE(フリーズ)という4つの要素に分類される。

「導入として立った状態で踊るトップロック、しゃがんだ状態で床に手をついて行う素早い足捌きやステップなどを指すフットワーク、背中や肩で回るウィンドミルや頭で回るヘッドスピンといったアクロバティックな動きを指すパワームーブ、一連の流れから音に合わせて動きを止めるフリーズといったブレイキン特有のパフォーマンスの分析はもちろん、ブレイキンの持つ歴史とカルチャーも含めて6年という歳月をかけて研究してきました」と、EKIN(エキン/ナイキのプロダクトのテクノロジーやイノベーション、開発背景やストーリーを伝える担当者)の担当者は言う。

従来、ブレイカーたちはクラシックなシューズを愛用していた。ナイキのシューズを例に挙げると「エア フォース I」「ダンク」「ブレーザー」などだ。今回ブレイキンに特化したシューズ開発のため、NSRLであらゆるレベルのブレーカーの動きを解析したという。まずは、アスリートの声を聞く。この辺りはナイキのランニングシューズやバスケットボールシューズなどの開発と変わらない。

「モーションキャプチャーで動きを分析し、フォースプレートによってどのように重心移動が行われるかを解析するなど、ブレイカーのパフォーマンスを徹底的にリサーチすると同時に、ブレイカーたちが何を好むのかも徹底的にヒアリングしました」

「ナイキ ジャム」にカップソール(カップ形状のソールにアッパーをはめ込み、縫い合わせたり接着剤で止めたりする製法)が採用されているのも、クラシックなシューズを愛用するブレイカーたちの声を聞いたことによるものなのだろう。

カップソールにはめ込むドロップインタイプのミッドソールにはクシュロンというフォーム素材を採用。これはナイキのランニングシューズやバスケットボールシューズにも使われている素材でクッション性に優れている。また足の動きを妨げないよう、ミッドソールにも屈曲溝が設けられている。アウトソールはシェブロンパターンとヘリンボーンパターンを組み合わせ、優れたグリップ力をブレイカーに提供する。