トランプ銃撃、バイデン撤退で市場混乱…「とりあえず売っておこう」は拙速すぎる【シニアのためのマネー講座】

AI要約

トランプ前大統領の暗殺未遂事件による影響と、株式市場でのトランプ関連取引について。

市場の不透明要因への嫌悪と、結果が確定すると市場の反応が変わること。

シニア投資家がビビらず、不確定要因に振り回されずに賢明な投資行動を心掛けるべきこと。

トランプ銃撃、バイデン撤退で市場混乱…「とりあえず売っておこう」は拙速すぎる【シニアのためのマネー講座】

【シニアのためのマネー講座】#104

「耳の皮一枚!」

 全世界が震撼したトランプ前大統領の暗殺未遂事件。もう少し頭をかしげていたら、間違いなく命はなかっただろう。いわば強運の持ち主。これで11月の大統領選の勝利が濃厚となった。

「死線をくぐった政治家は強い」

 その典型例となりそうなのだ。

 そういった背景もあり、最近の株式市場は「トランプ・トレード」一色となっている。トランプ氏が当選することを前提に、投資家たちが「先取りの動き」を強めている。関税・規制などの強化、ウクライナ戦争の終焉、各国に防衛費増強を要請etc……投資家の「想像」にはキリがない。

 儲かるためには、いろいろなことを「算段」している。「さすがにそれはちょっと考えすぎ」……そういった無理筋なものもある。

 思い起こせば8年前の大統領選。世間では「ヒラリー優勢」が伝えられていた。しかし、開票速報でトランプ優勢が伝えられると、株価は急落。だが、その後は一転して大暴騰。トランプ大統領でメリットを受ける銘柄が積極的に物色されたのだ。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」

 投資家たちの「変わり身」は実に早かった。

 このようなことからも分かるように、市場は「不透明要因」を極めて嫌う。「怖いことは売り」「分からないことは売り」で反応してしまう。

 しかし、何らかの結果が出て、物事が確定すると、その反対の動きが出てくる。売っていた人が一斉に買い戻し。手のひらを返すように、まったく逆の行動をとるのである。

 そしてバイデン大統領がようやく大統領選からの撤退を表明した。身内の民主党内でも「撤退論」が広がっており、遅ればせながら「勇退」を決断した格好だ。

 後継に検事出身のハリス副大統領を指名。これによって刑事訴追されているトランプ氏と全面対決が鮮明になりそうだ。

 しかし、どのような結果になろうとも、事実さえ確定してしまえば、その不透明要因は解消。株価は上昇する可能性が高い。

 外国のこととはいえ、シニアにとっては残された数少ない大統領選。あまりビビりすぎて「とりあえず売っておこう」なんていう拙速な行動をとらないようにしたい。

 死線をくぐった投資家は強い。どんな場面でも、「耳の皮一枚」生き残れるよう心掛けたい。

(黒岩泰/株式アナリスト)