ベントレーはなぜ、過去最高の販売台数を記録し、その後も業績好調なのか?

AI要約

2022年、ベントレーは過去最高の販売台数を記録し、2023年も好調な業績を維持した。自動車業界の大変革期でも英国ブランドが躍進する理由について。

ベントレーの歴史と伝統を象徴するエピソードである天皇皇后両陛下の訪英と、特別製造されたステートリムジンに乗車した様子。

最新の第4世代新型コンチネンタル GTの発表について、製品拡充と販売戦略に関するブランドキーマンのインタビュー。

ベントレーはなぜ、過去最高の販売台数を記録し、その後も業績好調なのか?

2022年、ベントレーはグローバルで過去最高の販売台数を記録、2023年も好調な業績を維持した。100年に一度の大変革期を迎えた自動車業界で、英国伝統のブランドがさらに強い輝きを放つのはなぜか?

ベントレーがどのようなブランドであるかを如実に示したのが、2024年6月に天皇皇后両陛下がイギリスを訪れたときの映像だった。空港に到着した両陛下は、英国王室が差し向けたベントレー・ステートリムジンに乗り込んで、ロンドン市内のホテルへと移動なさったのだ。

このリムジンは、故エリザベス女王の在位50周年を記念して2002年に製造されたもの。同社の高級サルーンであるアルナージをベースに仕立てられた、特別な1台だ。

1919年創業のベントレーは、このトピックからもわかるように歴史と伝統を誇るブランド。といっても「昔の名前で出ています」というわけではなく、2022年にはグローバルで1万5174台と、過去最大の販売台数を記録するなど、いまなお成長を続けている。

このベントレーが、第4世代となる新型コンチネンタル GTを発表した。ジャパンプレミアの会場では同社のキーマンに話を聞くことができたので、ブランド戦略などを紹介したい。

われわれのインタビューに答えてくれたのは、アジア太平洋地域担当ディレクターの二コ・クールマン氏、チーフ・コミュニケーション&D&Iオフィサーのウェイン・ブルース氏、そしてベントレーモーターズ ジャパンでブランドディレクターを務める遠藤克之輔氏の3名だ。

──2022年に続き、2023年もベントレーの業績は好調でした。その理由をどのように分析していますか。グローバル、アジア太平洋地域、日本、それぞれについてお聞かせください。

ブルース 理由はいくつかありますが、コロナ禍を経て世界中でわれわれが扱うようなクルマの需要が高まっています。クルマの買い方も変わり、好みの仕様に仕立てるパーソナライゼーションが増えたことも売上増の要因です。

クールマン アジア太平洋地域もグローバルと同じ傾向ですが、商品のラインナップが拡充したことも好調の要因だと考えています。たとえば新たに導入したベンテイガのEWB(註:EXTEDED WHEELBASEの略で、ホイールベースを延伸することでショーファードリブンとしても使われる)というモデルは、販売拡大に貢献しました。

遠藤 日本では、既存のロイヤリティの高いお客様がブランドを支えてくださっているいっぽうで、SUVタイプのベンテイガを初めてのベントレーとしてご購入いただくお客様も増えています。かつてのベントレーは超富裕層の限られた方だけの特別な存在でしたが、メルセデスを卒業してそろそろベントレーに乗ってみようかしら、というお客様からも選ばれるブランドになっています。

──遠藤さんにうかがいたいのですが、日本では、Tシャツとショーツで乗るような、若いオーナーが増えているように感じます。

遠藤 正確な数字は申し上げられませんが、年齢層は確かに下がっています。ニューリッチと呼ばれる富裕層の方は、貯め込むのではなくフローで消費するようなライフスタイルで、それがベントレーに乗るという行動に表れているように感じています。

──日本はベントレーにとって6番目の市場だとうかがっています。他国と比べて、日本の顧客やマーケットにユニークなところがあれば教えてください。

クールマン 日本のお客様は控えめな印象です。見せびらかしたり、自分をアピールすることがあまりお好きではないようです。アメリカなどではクレイジーな色の組み合わせのオーダーを見かけますが、日本にはありません。

ブルース 日本のお客様は、クラフツマンシップによる高品質を重視なさっていると思います。ベントレーにはビスポークやパーソナライゼーションを担当するマリナーという部門があるので、これからの日本の市場でマリナーの需要が高まるのではないかと期待しています。車種別の売上を見ると、フライングスパーという4ドアサルーンの割合が高いことが日本市場の特徴です。