「収入なければ支出も…」万博入場券、前売り低調 予約不要の紙チケットで巻き返しへ

AI要約

2025年大阪・関西万博の入場券について、予約不要の紙チケットの販売が始まる。高齢者への配慮や売り上げ増加の狙いがあるが、警備などの追加コストも課題となっている。

電子チケットが主流になる中、高齢者への紙チケット提供が吉村知事の提案により実現。しかし目標の販売数には未達の状況。

入場券の売り上げは万博の運営費に直結し、販促力の強化やプロの招聘が求められている。

「収入なければ支出も…」万博入場券、前売り低調 予約不要の紙チケットで巻き返しへ

2025年大阪・関西万博の入場券について、日本国際博覧会協会(万博協会)は来場日時を予約する電子チケットに加え、予約不要の紙チケットを10月から販売する。インターネットに不慣れな高齢者らも購入しやすい方法を用意し、万博運営費の原資となる入場券の売り上げを増やしたい考え。ただし警備態勢の見直しなどに伴い、追加コストが生じ、予約前提としてきた来場者輸送への対応も求められる。

万博協会は6月27日の理事会で、開幕半年前の10月13日からコンビニエンスストアなどで紙チケットを販売することを決めた。一部は入場日時を予約しなくても、当日に人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の会場ゲート前で2次元コード付きチケットと引き換えれば入場できる。

■慣れない高齢者

近年の大規模イベントでは、スマートフォンにダウンロードして使用する電子チケットが主流になりつつある。今月開幕のパリ五輪では完全電子化。昨年11月から販売されている万博の前売り券も電子チケットで、購入時のID登録や入場予約の際にネット上での手続きが必要となる。

紙チケットの販売を提案したのは、万博協会副会長を務める大阪府の吉村洋文知事だ。スマホの操作に慣れない高齢者らから、前売り券の購入が難しいとの相談が寄せられているとして、万博協会に対応を求めた。

吉村氏が紙チケットを提案した背景には、前売り券の販売実績が伸び悩んでいる現状がある。万博協会は来年4月の開幕までに1400万枚を販売することを目標とし、うち企業が約700万枚を購入する予定だ。6月26日時点の販売実績は、目標の2割にとどまる約297万枚。大半の購入元は企業という。

■「販促プロ必要」

入場券の売り上げは万博運営費の原資となる。運営費に加え国と府市、経済界で等分負担する会場建設費も当初想定から増額しており、運営費で赤字が出ればさらなる税負担は免れない。

吉村氏は「収入がなければ支出もできない。買いやすい入場券を準備すべきだ」と強調する。万博協会に入場券の販売促進を担当する専門部署がないことから、府関係者も「民間から販促のプロを呼び、万博協会の責任あるポストに据えるべきだ」と注文を付ける。