SNSフォロワー11万人超 里山の魅力を発信する移住者がつづった住まいを「ずっと居たいと思える場所にする」ための一冊

AI要約

加賀江広宣さんが里山に建てた自ら設計した住まいへの思いや家造りのプロセスを紹介したエッセー風の本が出版された。

家族との関わりや工夫、SNSでの暮らしの発信などが紹介されている。

加賀江さんは自然を感じられる家で幸せな時間を過ごすことの重要性を語っている。

加賀江さんは田舎が苦手だったが、里山での生活により自然との共生を楽しむようになった。

家を建てることで自分自身も変わり、住まいが人の性質に影響を与えることを実感している。

加賀江さんの著書は自らの住まいづくりを通じて得た知見や体験を共有し、読者に家を「ずっと居たいと思える場所」にするヒントを提供している。

里山での暮らしや家族の絆、自然との触れ合いを大切にする暮らし方が紹介されている。

SNSフォロワー11万人超 里山の魅力を発信する移住者がつづった住まいを「ずっと居たいと思える場所にする」ための一冊

 鹿児島市郊外の里山に約10年前に移住し、日々の暮らしを交流サイト(SNS)で発信している加賀江広宣さん(43)が、自ら設計して里山に建てた住まいへの思いなどをエッセー風につづった「住む、ということ 里山のちいさな暮らし」を出版した。天然素材の家造りのプロセスをはじめ、土地の選び方や資金計画まで、住まいを「ずっと居たいと思える場所にする」ための一冊だ。

 加賀江さんは長崎市生まれで、高校から大学院まで建築やインテリアを学んだ。福岡県春日市に住んでいた2010年、妻の帰省先の鹿児島市で偶然出合ったモデルハウスに衝撃を受ける。

 マンションや立体駐車場に囲まれた市街地にありながら、広々として自然を感じさせる造り。「子どもを育てるならこういう家で」と思い、その2カ月後には同市に家族で引っ越し。そのモデルハウスを作った同市の住宅メーカーに転職した。

 「人生80年としたら、家で過ごす時間は54年にもなるといいます。だから、幸せな気分で過ごせる家がいい家」と加賀江さん。鹿児島市中心部から車で30分ほどの里山の風景に妻ともども魅せられ、土地を購入。家造りを進め、13年9月に「緑豊かな公園に家が建っている雰囲気」の木造2階建てが完成した。

 初の著書では、週末ごとに家族で里山に通い、木々が生い茂っていた土地を重機などで開墾する過程や、3人の子どもたちと共に杉板の外壁に塗料を塗ってメンテナンスする様子など、家族との関わりを中心に里山暮らしを紹介。SNSなどにつづっていた「今を信じて進む選択」や「親としての振る舞い」といったミニコラムを添えた。

 このほか、仕切りのない子ども部屋▽浴室とランドリーは2階▽小さなお金で大きな予算をつくる-といった工夫も披露。巻末には、どういった時間を家で過ごしたいかを記したり、土地選びの条件などをメモしたりできる「家づくりマップ」を付けた。

 加賀江さんは現在、SNSのインスタグラムで、里山の四季を感じながら穏やかでゆったりと過ごす日々の暮らしを発信。フォロワーは11万人を超え、敷地内に増設した「離れ」には、SNSなどを通じて知り合った海外の人も泊まりに来ることがあるという。

 実は、自分の家を建てるまでは田舎が苦手で虫も大嫌い、家でごろごろするのが大好きだったという加賀江さん。だが里山に住み、面白がって「家を育てていく」うちに、自然の中の方が心地よく生きられることに気付いたという。

 「家を建てて一番変わったのは私自身。住まいは人の性質を変えるぐらい力を持っている」と笑顔を見せた。 (伊東秀純)

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 加賀江さんの著書はA5判、オールカラー128ページ。婦人之友社、1760円。