人間と自然との共存世界に没入体験…東京・有楽町で「未来展」

AI要約

東京都主催の体験型展示会「人間×自然×技術=未来展」が開催中。未来の暮らしを豊かにするヒントが展示されている。

移動する公園やサステイナブルな映像作品、廃材から生まれたアート作品など様々な展示が行われている。

VR体験コンテンツやサイブリッド植物の展示も人気。9月23日まで開催されるので、見逃さないように。

地球温暖化など自然環境を巡る問題が深刻化する中、人間と自然が多様に関わり合う未来の暮らしについて考える体験型展示会「人間×自然×技術=未来展‐ Well-being for human & nature -」(東京都主催)が、東京・有楽町のSusHi Tech Squareで開かれています。未来の暮らしを豊かにするためのヒントが並んでいるという会場を訪ねてみました。

まず目を引いたのは、「移動する公園」が基本概念の「Moving Green Park」。都市と自然との共生を考える企業プロジェクト「Tokyo 緑予想図」による展示で、都市の中の緑の少ない場所に小さな公園を移動させて、自然と気軽に触れ合う時間を提供しようという狙いです。

キャスターが付いた木箱の上には様々な植物が生育しており、どこにでも簡単に「緑の出前」をすることができます。このほかにも、2人で小さなボールを蹴り合って楽しむ遊具やベンチがあり、これらも緑と一体化した構造になっていて移動が可能です。

アーティストの田中薫さんが手掛けた「GREENSCAPE」は、来場者の動きに合わせて風景が変化するイマーシブ(没入感)な映像作品です。

サステイナブル(持続可能)な未来へのメッセージを込めたといい、公園や山などの自然環境から収集したデータをもとに制作された3種類のデジタル映像が映し出されます。

作品に近づくと、東京都のシンボルであるイチョウの葉が舞い上がり、風景が徐々に変容していく様子が楽しめます。

建築現場や家具工房から出た廃材で作られた「闘牛」と「寅」は、アーティストの加治聖哉さんが、やはりサステイナブルを意識して手がけた作品です。

廃材から生まれたとは思えないほど滑らかな曲線美が描かれた2頭は、今にも動き出しそうなほどの迫力があります。

VR(仮想現実)クリエイター・VoxelKeiさんの「JAPANELAND SKY」は、日本列島の上空を自由に飛び回る体験が味わえるVRコンテンツです。

国土地理院の基盤地図情報をもとに、地図を2万分の1のスケールで立体化し、VRゴーグルとコントローラーを用いることで、実際の日本の上空を自由に飛んでいるような体験が可能になりました。

気候変動に伴う世界の食糧難を解決する可能性を秘めた「Cybrid(サイブリッド)植物」も展示されています。もともと別の植物を交配させた、いわば「いいとこどり」の新しい植物です。

とりわけ、イネとトウモロコシ、コムギは、いずれもイネ科に属する穀物なのに交雑種を作り出すのが難しいとされていましたが、今回の展示では、最新技術でイネとコムギを掛け合わせた「イネ‐コムギ」や、トウモロコシとコムギを掛け合わせた「トウモロコシ‐コムギ」などが紹介されています。

これらのサイブリッド植物は、地球温暖化によって乾燥・高温化が進む過酷な環境下でも収穫が可能になるそうです。

本展は9月23日まで。入場無料。(読売新聞メディア局 市原尚士)