パスタ端材で島ビール製造…環境に配慮、キンカン風味

AI要約

淡路麺業が生パスタの端材からクラフトビールを製造する取り組みを進めている。

淡路麺業は地元食材を生かした生パスタを製造し、端材の活用方法を模索中。

生パスタの端材を使用したクラフトビール「superstar」が完成し、販売されている。

 生パスタの製造過程で発生する端材から、クラフトビールを造る取り組みが進められている。製麺会社「淡路麺業」(兵庫県淡路市生穂新島)が、循環型社会の実現を目指すプロジェクトの一環として、クラフトビール醸造所と共同で開発。淡路麺業は「こだわりの生パスタ製造を続けていくためにも、環境に配慮する責任を果たしたい」と意気込んでいる。(大田魁人)

 1909年創業の同社は、2007年から生パスタの製造・販売を始めた。13年度には島内で国産デュラム小麦の栽培を成功させ、100%淡路産デュラム小麦を使った生パスタも開発。現在では「スパゲティ」や平打ちの「タリアテッレ」など50種類以上を製造し、全国の飲食店約3500店舗や一般向けに販売する。

 1日3万~5万食を製造するが、原材料の配合率や形の異なる麺を製造する上で、商品にならない端材が発生。1日あたり約50キロにもなり、牛の飼料として地元の畜産家に提供するなど活用方法を模索する中、地元食材を生かしたクラフトビールを造る「NAMI NO OTO BREWING(ナミノオトブルーイング)」(同県南あわじ市松帆)の存在を知った。

 淡路麺業から声をかけ、約3か月、打ち合わせと試行錯誤を重ねた。今年5月、発酵させた生パスタの端材やキンカンなどを使ったクラフトビール「superstar(スーパースタア)」(アルコール分5・5%)が完成。淡路麺業執行役員の林亜妃子さんは「生パスタのたんぱく質を思わせるなめらかな口当たりと、ほのかに香るキンカンの風味がとても飲みやすい」と絶賛する。

 今回は、同社の主力商品3種類の1日分の端材を使い、350ミリ・リットル缶約1000本分を製造した。

 同社直営のレストラン「PASTAFRESCADAN―MEN(パスタフレスカダンメン)」(淡路市生穂新島)で1杯850円で提供するほか、ナミノオトブルーイングのオンラインショップで6本セット(税込み4600円)で販売。島内の道の駅や物産店では1本から購入できる。

 プロジェクトは今後も展開する予定で、林さんは「様々な企業と協力させてもらい、地域貢献や社会課題解決につながる取り組みを実施していきたい」と話している。