モラハラ夫と離婚したい...「収益」のため子供をネットにアップし続ける母親たちの「悲惨すぎる末路」

AI要約

SNSを中心に反響を呼んだ『子どもをネットにさらすのは罪ですか? 』は、漫画家・まきりえこさんが自身の体験を交えつつ、動画配信によって歪んだ親子の関係性を描くセミフィクションだ。

本書では、あずさが動画投稿にのめり込んでいった経緯を通して、なぜ親は子どもの素顔をネットに晒すのか、その後大きくなった子供が抱える問題について問う。

あずさの場合は貴山家と異なり顔出しこそしていないものの、理想的な団地暮らしの日常を表現するために、ふうかの微笑ましいシーンを撮影し、頻繁に出演させていることに違いはない。作者のまきりえこさんは、SNSで家族のことを発信する際には十分に気を付けてほしいと話す。

モラハラ夫と離婚したい...「収益」のため子供をネットにアップし続ける母親たちの「悲惨すぎる末路」

 SNSを中心に反響を呼んだ『子どもをネットにさらすのは罪ですか? 』(KADOKAWA)は、漫画家・まきりえこさんが自身の体験を交えつつ、動画配信によって歪んだ親子の関係性を描くセミフィクションだ。

 本作の主人公は、パートで働きつつ、不仲の夫と別れることを夢見る主婦・山田あずさ。窮屈な日常から抜けだすため「デイチューブ」で動画配信を始めるが、娘・ふうかが視聴者からの人気を得たことで、少しずつ歯車が狂っていく。その衝撃的な内容は、ネットを中心に話題を呼んだ。

 近年、インスタグラムやTikTokなど気軽に発信できるメディアが増えたこともあり、軽い気持ちで子供の写真やエピソードをネットに投稿したことがある人もいるのではないだろうか。

 本書では、あずさが動画投稿にのめり込んでいった経緯を通して、なぜ親は子どもの素顔をネットに晒すのか、その後大きくなった子供が抱える問題について問う。

 娘・ふうかの協力で「デイチューバ―」として軌道に乗り始めていたある日、あずさはふうかの授業参観に参加する。

 その際に母親同士でウワサになっていたのが、SNS上でインフルエンサーとして活躍する貴山家のことだった。息子・ヒロトが急に不登校になってしまった理由が、母親の投稿がきっかけではないかというのだ。平然とヒロトや一緒に遊んだ同級生の子までネットにアップしていたため、SNSが荒らされていたという。

 この事件が起きる前、ふうかが「ママがインフルエンサーになっちゃったら、きっとふうか、いじめられちゃうね」と気に病んでいたことがあった。

 あずさは「バレないように編集しているから大丈夫」と諭したばかりだったが、母親同士の会話で聞こえてきた「集客素材として利用されてるよね」という言葉が脳裏から離れなくなる。

 SNS上のヒロトは、お祝いの会だというのにいかにも浮かない顔をしている。意に沿わないまま写真をアップされるせいだろうか。

 あずさの場合は貴山家と異なり顔出しこそしていないものの、理想的な団地暮らしの日常を表現するために、ふうかの微笑ましいシーンを撮影し、頻繁に出演させていることに違いはない。「うちも?」と、あずさは思い悩むことになる。

 作者のまきりえこさんは、SNSで家族のことを発信する際には十分に気を付けてほしいと話す。

 「子供が幼く、発信者である母子(父子)と一体感が強いとしても、やがて親とは別の人格になっていきます。将来、自我を持った子供に非難されない、節度ある発信は最低限心がけたいものです。

 そして、より注意したい点が、AIをはじめとした情報技術の進歩です。モザイクをかけ居住地をぼかして発信しようとも、個人情報が悪用される恐れが出てきました。実際に、発信者の瞳に写った反射画像を解析することで、居住地が特定されるような犯罪もすでに起こっています。

 未来にはさらなる技術の進歩で、過去の発信から個人情報が漏洩することもありえます。SNSでの発信には一層の注意深さが必要です」

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後編記事『「子供の人生」を代償に得る「いいね」の恐ろしさ…娘をネットに晒し続ける母親に起きた「ある異変」』につづく……