たったこれだけで目薬1本分の効果が得られる…「緑内障に効果あり」に効く眼圧を下げる1日1分の呼吸法

AI要約

複数の研究から緑内障への効果が実証された呼吸法がある。眼圧の管理の重要性や個人差、目薬の効果などが述べられている。

緑内障の進行には個人差があり、眼圧が下がることで視野欠損が抑えられるが、一部の人では進行が止まらない場合もあり、適正眼圧の重要性に言及されている。

目の周囲のマッサージや東洋医学の手法には科学的な裏付けがないため、緑内障治療においては目薬を中心とする西洋医学の治療を重視するべきである。

複数の研究から緑内障への効果が実証された呼吸法がある。眼科医の平松類さんは「『いま、ここにいる自分』という存在に、ただ向き合うイメージで腹式呼吸をすることで、複式呼吸眼圧を平均4mmHg程度下げる効果があるといわれている。通常、目薬1本で眼圧は2~4mmHg下げる効果があるとされているので、目薬1本程度の治療効果が期待できるといえる」という――。

 ※本稿は、平松類『眼圧を下げるには? 失明を避けるには? 緑内障について平松類先生に聞いてみた』(Gakken)の一部を再編集したものです。

■緑内障の適正眼圧は患者さん一人ひとり違う

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Q:眼圧が下がっていれば進行は止まりますか?

お答えしましょう:進行には個人差があります。多くの人は視野欠損の進行が抑えられますが、一部の人は止まりません。

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 眼圧が3割程度下がれば、70~80%の人は視野欠損の進行が抑えられます。しかし同時に、このことは眼圧を下げても20~30%の人の視野欠損は進行し続けることも示しています。

 その理由は、緑内障の適正眼圧は患者さん一人ひとり異なっているからです。

 たとえば、22mmHgという高眼圧であっても視野が欠損しない人もいれば、10mmHg以下なのに緑内障を発症して、視野欠損が進行し続ける人もいるのです。

 眼圧が下がっても視野欠損が進行する場合は、目薬を追加してさらに眼圧を下げる治療をし、それでも経過がよくならない場合は、手術やレーザー治療への移行を検討します。

■眼圧が下がっても完全に安心はできない

 また、眼圧が下がって視野の欠損が止まったからといって、完全に安心するわけにもいかないのです。なぜかというと、加齢により患者さんの目標眼圧が変わることもあるからです。

 診察時間の眼圧よりも、家庭にいるときの眼圧が高いケースも6割程度あるという研究結果もあります。また先天的に角膜が弱い人、レーシックで角膜を削った人などは、眼圧が低く測定されるため、測定方法や測定値の検証が必要な場合もあります。

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ポイント:眼圧の測定値

眼圧は、血圧と同じように一日の中で変動し、姿勢によっても変わります。先天的な影響、レーシック、加齢によっても変わるため、個人差を考慮しつつ、定期的に測定する必要があります。

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■目の周りのマッサージは効果があるのか

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Q:目をマッサージすると眼圧は下がりますか?

お答えしましょう:目やその周辺のマッサージは危険です。緑内障に効果があるマッサージは、確認されていません。

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 緑内障に効果があるマッサージは確認できていないというのが現状です。実際、緑内障に有用であるというマッサージは、私が調べた限り出てきません。漢方や鍼灸などの東洋医学の手法に関しても、科学的な裏付けを示すデータは十分ではないと言わざるを得ません。

 注意すべきは、「緑内障に効く」と言い切っているものです。マッサージは、あくまでリラックス目的でおこなってください。またリラックス目的であっても、目の周りをマッサージするのはNGです。緑内障によいどころか、悪化する可能性もあるので絶対やめてください。

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チェック:目を温めるケアやグッズの効果について

「目を温めるといい効果がありますか?」とよく質問を受けますが、残念ながら眼圧を下げる効果はありません。しかし、緑内障の患者さんは目の表面が荒れやすいので、そのケア方法としては有効です。

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■治療の基本は目薬

 治療の基本は目薬です。あくまで心身をリラックスする目的で、目の周囲以外のところをマッサージするというのが正しいと思います。

 また、マッサージだけに限らず、東洋医学の手法も含めて、西洋医学を全否定する治療法からは離れて欲しいと思います。

 その理由は、私が勤務する病院にも西洋医学を否定する人から指導された治療を受け続けた挙句に、後期まで進行してしまい、ほぼ手の施しようのない患者さんが少なからずいらっしゃるからです。こんなときほど、医師として悔しい思いをすることはありません。