「うちの子、宿題はできるのに実力テストはボロボロ・・・」子供がついやってしまう応用力のつかない勉強法とプロが薦める勉強法の違いとは?

AI要約

受験指導歴40年以上のプロ家庭教師が、大量演習型の塾での問題解法について指摘。機械的な解法が誤りを生むことを説明。

数値替え問題の反復練習が教育的意義があることを認識しつつも、子供が機械的な作業に陥る可能性があることを警告。

「問題文の言葉に敏感になる」ことが応用力の養成に不可欠であることを強調し、改善策として特定の問題集を推奨。

 40年以上の受験指導歴を持つプロ家庭教師の西村則康氏は、教育学者の齋藤孝氏との対談で次のように述べています。

 「大量演習型の塾で真面目に頑張った子は、問題を一瞥(いちべつ)しただけで鉛筆を動かし始めるのです。五行ぐらいの文章題でも、視線が1~2回しか往復しない。つまり、いくつかの言葉だけを見て、過去にあったあの問題と同じだと見当をつけて解き始めるわけです。ところが、その推量が間違っていることが多い。そうなるとミスだらけで、答案はもうボロボロです」(祥伝社新書「なぜ受験勉強は人生に役立つのか」齋藤孝、西村則康共著から)

 大手進学塾で算数学習の要となっているのは、「数値替え問題の反復練習」です。数値替え問題とは、問題の文章や図は全く同じで数値だけを替えた問題です。解法パターンの定着を図ることを目的としており、それぞれの単元を学ぶ初期段階においてはとても学びやすい方法の一つですから、それ自体は否定されるべきものではありません。

 しかし、十分に注意しておかなければならないことがあります。それは、「大量の宿題」と「時間制限の厳しい復習テスト」というノルマをこなすために、子供によっては、式の形を覚えて、「機械的に数字を当てはめるだけの作業」になってしまう場合があることです。

 「宿題」と「復習テスト」は、主に「数値替え問題」で構成されています。「宿題を終わらせる」ことを家庭学習の目標にすると、子供は早く終わらせたいがゆえに、問題を雑に解くようになります。「復習テスト」も問題数に対して時間設定が厳しく、良い点数を取るためにはできるだけ多くの問題を解かなければなりません。そのため、子供は「先へ、先へ」と急ぐようになり、ここでもまた問題を雑に解いてしまいます。なぜなら、「数値替え問題」は問題文をよく読まずに、数字だけを拾い、それを覚えた通りの式に当てはめても正解できるからです。

 このような「機械的な当てはめ作業」をどれだけやったとしても、受験算数にとって最も重要な能力の一つである応用力は決して身に付くことはないでしょう。応用力を付けるための要素として「問題文の言葉に敏感になる」ことは不可欠です。ところが、上記のような作業は逆に「問題文の言葉に対する鈍感さ」を植えつけてしまいます。

 「うちの子は応用力がない」「復習テストは高得点が取れるが、範囲のない実力テストでは点数が低い」などの悩みをお持ちの親御さんは少なくありません。もしかすると、お子さんが前述の状況に陥っているのではないでしょうか。

 これに対する改善策として拙著「中学入試 速ワザ算数」シリーズ全4冊(文英堂)のうち、いずれか1冊だけでもよいので取り組むことをお勧めします。

 本書は、複数の教育雑誌で「ベストバイ」「買わないと損する教材」などと紹介されたこともあり、長年、全国で多くの受験生の教材として親しまれてきた問題集です。その活用法については、個人塾や家庭教師の先生、保護者の方がブログなどでさまざまな方法をご提案くださっていますが、今回は私の方から「学び方の転換を図る新提案」として、本書の特徴を生かした学習法について述べてみます。