スヌーピーと考える、「何者でもないぼく」を愛するということ

AI要約

「ピーナッツ(PEANUTS)」は、半世紀以上にわたり世界中で愛される漫画作品であり、個性豊かなキャラクターたちの魅力が際立つ。

『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』は、谷川俊太郎さん訳の「ピーナッツ」キャラクターたちのことばに、永井玲衣さんの哲学的な文が加えられた素敵な本である。

永井玲衣さんは、本書について「ピーナッツ」の登場人物たちが問いを投げかけてくれると述べ、その独特の魅力を解説している。

スヌーピーと考える、「何者でもないぼく」を愛するということ

 スヌーピーで知られる「ピーナッツ(PEANUTS)」は、漫画家チャールズ・M・シュルツ原作で1950年から半世紀にも渡り新聞連載され、個性的なキャラクターとともに世界的に愛され続けている。

 思いやりがあり優しいが、優柔不断であれこれ考えこむタイプのチャーリー・ブラウン。いつも自信満々で少しわがまま、自分の気持ちに素直なルーシー。母親がおらずさみしがり屋だが自分を見失わないペパーミント パティ。まじめで成績優秀、両親の期待の大きさに少し疲れているマーシー。「安心毛布」が手放せない冷静で哲学的なライナス。学校ぎらいで、当たり前なことでも「なぜ?」が止まらないサリー。ありのままの自分が好きで、日々の小さなしあわせを見つけるのが得意なスヌーピー。

 『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』(原著 チャールズ・M・シュルツ/訳 谷川俊太郎/文 永井玲衣 世界文化社)は、谷川俊太郎さん訳の「ピーナッツ」の仲間たちがつぶやくことばに、哲学者・永井玲衣さんの文が添えられた一冊だ。発売即重版したという本書から、「心に響く」ことばを短期集中連載にてお伝えする。

 以下、キャラクターの紹介は『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』からの引用掲載です。

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スヌーピー

空想好きなビーグル犬。飼い主の名前をちっとも覚えず「丸顔の男の子」としか思っていない。ありのままの自分が好きで、日々の小さなしあわせを見つけるのが得意。

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チャーリー・ブラウン

スヌーピーの飼い主。野球が命。連敗続きだが仲間との温度差にもめげず監督と投手をつとめている。思いやりがあり優しいが、優柔不断であれこれ考えこむタイプ。

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ルーシー

大のやかまし屋でチャーリー・ブラウンやライナスには特にシビア。シュローダーにだけは乙女! いつも自信満々で少しわがままだが、自分の気持ちには素直。

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ペパーミント パティ

運動神経抜群だけど勉強は大の苦手。父子家庭に育つ。どんなにひどい成績でも自分を見失わないのに、なぜか自分の大きい鼻に絶望。

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マーシー

勉強が得意で面倒見のよい優等生。運動は大の苦手でペパーミントパティを「先ぱい」と呼ぶ。まじめで成績優秀、両親の期待の大きさに少し疲れている。

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ライナス

ルーシーの弟。「安心毛布」が手ばなせない哲学少年。サリーに「バブーちゃん」と呼ばれている。

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リラン

ルーシーとライナスの弟。スヌーピーといっしょにはしゃぐのが大好き。

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サリー

学校ぎらいで兄のチャーリー・ブラウンに甘えてばかり。校舎と会話するなど不思議ちゃんな面も。当たり前なことでも「なぜ?」が止まらない。

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 文を寄せた哲学者の永井玲衣さんは本書でこのように述べている。

 “「ピーナッツ(PEANUTS)」には、わたしたちのとるに足らない、そして簡単にわりきれず、複雑で、なやみと笑いに満ちた日々が、えがかれている。えらそうじゃない、切実で手のひらサイズな問いが、登場人物の口からこぼれている。

彼らは「答え」をくれるのではなく「問い」をつぶやく。教えてくれるのではなく、いっしょになやんでくれる。そうしてようやく、しっくりきていなかった「あなたはあなたのままで」みたいなことばが、ちょっとだけ味がしてくる気がする。”

 では、彼らの口からこぼれた「問い」をいくつかご紹介しよう。