金沢21世紀美術館、22日から全面オープン 能登半島地震で被災

AI要約

金沢21世紀美術館が能登半島地震の被害から復旧し、展示を再開する。復旧により開催される企画展「Lines―意識の流れに合わせる」は、人間と自然のバランスに焦点を当てた展覧会となっている。

展示室の天井のガラスに被害が出たため、会期を中止していたが、安全対策を施し、ようやく全館フルオープンを迎えた。被災地へのエールを込めた作品なども展示される。

展示会の成功に向けて励ましや期待を受け、20周年を迎える今年は新たなスタートを切るとしている。

金沢21世紀美術館、22日から全面オープン 能登半島地震で被災

 能登半島地震で展示室が損傷し企画展を中止していた金沢21世紀美術館(金沢市)の復旧工事が終了し、22日から全面オープンする。皮切りとなる企画展「Lines―意識の流れに合わせる」が21日、報道関係者に公開された。「人間と自然のバランスのとれた関係」を目指す内容で、力強い復興の足音が聞こえる展覧会となっている。10月14日まで。

 同館では、地震で展示室の天井のガラス約70枚でひび割れや落下、ゆがみなどが生じるなど各所で被害が出た。休館中だったため、人的被害はなかったが、観客の安全確保のため、約1カ月間休館し、昨秋から今年3月までの会期を予定していたデジタルアート展「DXP」も中止した。2月6日から一部無料ゾーンを開放してきたが、展示室の天井のガラス約800枚を撤去するなど安全対策を講じ、ようやく全館フルオープンを迎えた。

 展示室の天井は配管などがむき出し状態の「露出天井」で、展示上、必要な部屋のみ布を張るなどして対応している。大巻伸嗣さん(神奈川県)は地震後、制作にあたって「自分に何ができるのか」を考えたといい、大陸のダイナミックな動きを作品「Plateau」に表現。機械的な作品が露出天井にマッチし、意外な効果も生まれている。

 コレクション展でも輪島市の漆芸(しつげい)作家、北村辰夫さんが祈りを込めた作品「雲龍(うんりゅう)庵(あん)」などを展示し、被災地へのエールを込めた。長谷川祐子館長は「約6カ月間もメインギャラリーの閉鎖を余儀なくされたが、その間、たくさんの励ましや期待、お見舞いをいただき、地震に対し、私たちに何ができるかを長期的に示さなければならないと実感した。今年は開館20周年を迎えることもあり、もう一つの始まりを祝福してほしい」と話している。【青山郁子】