「デリケートな分野に踏み込みすぎ」セレブも実践する「病院用のガウン」を着るファッショントレンドが賛否両論?

AI要約

病院用のガウンがファッショントレンドとして注目される時代になっている。

病院用のガウンと普通のファッションアイテムとの間で混乱が生まれている事例も見られる。

ファッションと医療の融合には限界があり、デリケートなテーマである病気に触れるため慎重さが求められる。

「デリケートな分野に踏み込みすぎ」セレブも実践する「病院用のガウン」を着るファッショントレンドが賛否両論?

ファッションのトレンドが多様化し、意外な発展を遂げている。病院用のガウンがファッションの一部として注目される時代になってきたようだ。

「病院用のガウン」を着るのは驚きのトレンドで、すでに今年最も予想外のトレンドのひとつにカウントできるだろう。すべてはTikTokに投稿された動画から始まった。その動画では、一見まだ目を覚ましていないようにも見える若い女性が、スマホを目の前に置き、2歩下がってポーズをとっている。髪は乱れ、目は朝日と戦っているようで、ゆったりとした柄物のグレーのショート丈ワンピースを着ている。これはいわゆる、Z世代に人気の毎日着ている服を撮影してSNSでシェアするというシンプルな「ootd」動画だ。そして、あるユーザー(@izzyfreee)の柄物ワンピースが流行した。

この動画は瞬く間に400万回以上の再生回数を記録し、47万4000件以上の「いいね!」を獲得した。その理由は? 多くのネットユーザーが、若い女性が着ているワンピースは病院用のガウンだと思ったからだ。実際は、ボヘミアンスタイルが特徴のアメリカのファッションブランド、フリーピープルのアイテムだった。「私もこれが病院用のガウンだと思った」、「混乱した、病院用のガウンに見える」「ああ、それは私が働いている場所(病院)でとっても人気のある服」と、コメントが書き込まれた。ある人はそのワンピースを着ている若い女性が「彼女は外出許可が出たのかと思った。精神病院から出てきたように見える」とユーモアをまじりにコメントした。

ワンピースを病院用ガウンと間違えたことには思わず笑ってしまうが、紛らわしくもある。注目すべきは、元々医療分野に特化したこのベーシックなアイテムが、現在ジワジワとトレンドになりつつあるということ。その証拠に、5月6日のMETガラでは、アメリカのラッパー、ドージャ・キャットが、ヴェトモンの濡れた白いロングネイキッドドレスを着て登場した。この退院風ルックはネットユーザーから大きな反響を呼んだ。プレタポルテブランド「Loft(ロフト)」のオンラインショッピングサイトでも、ワンピースやブラウスが販売されている。アメリカのインフルエンサー、ニコールはTikTokで68ドル(約1万円)のアイテムにひかれたと説明した。彼女はキャプションで、「このワンピースを注文し、受け取り、試着するのにかかった1週間の間に、このドレスは廃盤になってしまった」と述べ、おそらく「病院が全在庫を買い占めたのかもしれない」と皮肉った。

しかし、このファッションには限界がある。病気というデリケートなテーマに間接的に触れているからだ。ファッションとの結びつきは不自然だが、前例がないわけではない。2010年、有名なファッションデザイナー、ダイアン・フォン・ファステンバーグは、クリーブランド・クリニックの医療センターから患者用の新しい医療用ガウンのデザインを依頼された。「すべては患者の尊厳のため。周りに注目されることなく、患者が快適に過ごせるようなコレクションを作ることでした。それがホスピタル・シックラインの始まりです」と語り、彼女は自然に依頼を引き受けた。最近では、2023年にファッションとビジネスマネジメントのディプロマを持つオリビア・バーンズが、自身の会社「ハイポプラス」を立ち上げた。入院患者に快適さとエレガンスをもたらすためにデザインされたブランドだが、SNS上のファッショニスタの興味をそそるものではない。