実はこってり芸術的造りの代々木駅

AI要約

代々木駅は山手線最高地点に位置しており、各駅の標高には若干のばらつきがある。

代々木駅は中央線の駅でもあり、4線分のホームが用意されている特異な構造を持つ。

ホームの狭さや段差、歩行者用通路に指示があるなど、代々木駅の独特な仕様の理由が解説されている。

実はこってり芸術的造りの代々木駅

 代々木駅は、山手線でもっとも高い地点に位置する駅だ。各駅の標高は、不思議なことに資料により若干のばらつきがあるのだけれど、原田勝正著『1分停車 山手線』(1984年、講談社)によれば、代々木駅が海抜38.7mでトップ。もっとも低いところにあるのは品川駅で2.9mとなっている。ちなみに駅間の最高地点は、新宿-新大久保間で中央線を乗り越す淀橋跨線橋付近の41.1mである。かつては海辺だった品川駅からアップダウンを繰り返しながらも、おしなべて上り基調でここまでたどり着いたのだ。

 原宿駅をあとに外回り電車の先頭車両から眺めていると、左手は延々と神宮の森、右には宮廷ホーム前を通りすぎたのち、中小の雑居ビルやマンションが連なる。このあたりはほぼ地平面近くを走っているのだが、すぐに上り坂となって神宮の北参道へつづく道はガードで渡る。頭上を横切っているのは首都高速四号線だ。この先で、並走していた貨物線は地平に下り、かわって右手から中央線が近づいて黄色やオレンジ帯の電車が横腹を見せる。

 代々木駅は中央線の駅でもあるので、総武線と直通する黄色い帯の緩行電車が停まり、駅には4線分のホームが用意されている。島式ホーム2面ではなく、向かい合う片側ホーム2線にはさまれるように、島式が1面という3面4線の配線である。西寄りの片側ホームが1番線(山手線外回り)、2(同内回り)・3番線(中央線の中野・三鷹方面ゆき)が島式で、東寄りの片側ホーム4番線が中央線の御茶ノ水・総武線方面ゆきだ。

 各ホームの幅はかなり狭い。1番線の新宿方先端部分など、1.5mもあるかどうか。おそらく朝は降りる人、夕方は乗る人が中心なので乗降客が入り乱れることが少なく、これでなんとかなっているのだろう。もちろんホームドアは設置されている。

 2・3番線の新宿方も奇妙なつくりである。ホームの中心線に沿って柵が設けられており、山手線側と中央線側で10cm程度の段差があるのだ。中央線がこの先700mしかない新宿駅とのあいだで山手線を乗り越える必要があるため、代々木駅の途中から上り勾配とせざるを得ず、こんな形になっている。柵の切れ目には「! 足元注意」の文字が、これでもかこれでもかと並び、スピーカーからも注意をうながす音声テープ案内が降り注ぐ。