自分の名前を正確に聞き分けられる猫と“それっぽい”名前全てに反応する猫がいる理由

AI要約

TBS「わんにゃん観察バラエティ アニマリング」の専門家 高倉はるか先生が、猫の名前を覚える能力について語る。

犬と猫の言葉を理解する能力について、飼い主の言葉を覚えることの重要性が説明される。

犬は喜びを感じる動物であるため、飼い主の話を理解し、期待に応えるよう行動することができる。

自分の名前を正確に聞き分けられる猫と“それっぽい”名前全てに反応する猫がいる理由

 TBS「わんにゃん観察バラエティ アニマリング」の解説でもおなじみ、動物行動学の専門家 高倉はるか先生は、実家にいた頃、複数の猫を飼っていた。ペペ、キティ、まなぶ、ミケ、コク、むいがーと言う名の6匹の猫たちは、それぞれ自分の名前を聞き分けたという。

猫たちは正確に音を聞き取り、自分が呼ばれた時にだけ反応したと聞き、さっそく筆者も自宅で飼う猫、「むぎ」に呼び掛けてみた。

「むい」「ぬぎ」「ゆい」「とぅい」「ぬうぃ」……。

 むぎは、すべての呼びかけに反応した。

先生の家の猫は聞き分けられたのに、我が家のむぎはまったく聞き分けられない。

なぜきちんと自分の名前を覚えられないのか。

 東京大学、および大学院で獣医学を学び、在学中にカリフォルニア大学デービス校付属動物病院にて行動治療学の研究をされた高倉はるか先生の、ペットのお悩み相談に答える連載。

「ペットと人の双方が楽しく快適に暮らせるライフスタイル」を提案するはるか先生に、動物がどこまで言葉を聞き取り、理解できるのかをうかがった。(以下、はるか先生の言葉)。

 むぎちゃんが自分の名前を正確に聞き分けられないのは、その必要がないからです。

一人っ子の場合、“それらしい”名前を呼ばれれば、それは自分のこと。母音の「ui」に反応していれば、困ることはありません。

複数飼いだった私の実家では、呼ばれていない子が来ても、「違うよ、〇〇だよ」と相手にしてもらえませんでした。それでみんな、自分の名前を正確に聞き取れるようになったのだと思います。

むぎちゃんが聞き取れないのは、それっぽい音に反応していれば、聞き分けなくても、生きていくのに困らない。

動物は生きていくのに必要のないことは学びません。

 ただ、ペットして暮らすのであれば、飼い主の言葉は理解できるほうがいいと思います。犬にも猫にも動作に言葉を重ねて、たとえばごはんをあげる時は「カリカリあげるね」、ブラッシングする時は「ブラッシングしようか」などと、声を掛けていると、「カリカリ=ドライフードをもらえる」、「ブラッシング=飼い主にブラシをかけてもらえる」と認識するようになります。

 言葉をいろいろ覚えると、飼い主が望んでいることや、周囲の状況を理解するようになります。飼い主が何を考えているか、自分のいる環境に異変はないか。それがわかると、動物は不安を感じることが少なくなり、落ち着いて暮らせるようになります。

また犬は、飼い主から褒められることで、より喜びを感じる動物なので、猫に比べ言葉を覚えやすいと思います。

 多くの犬は飼い主のために役立ちたい、飼い主を喜ばせたいと考えているので、言葉を覚えた犬は飼い主の話を聞き取り、飼い主の望む行動をとろうとするようになります。人の多く集まる場所では騒がないとか、横断歩道の前では待つとか。自分で考えて、行動できるようになるということです。