【闘病】タバコは20年前に辞めたのに… まさかステージ4の「肺がん」になるとは

AI要約

小林栄樹さんは肺腺がんステージIV(4)と診断され、咳が症状の一つだったが、自覚症状はほとんどなかった。治療は抗がん剤から分子標的薬へ進んだが、遺伝子変異検査でROS1遺伝子異常が判明し、治療方針が変わった。現在は分子標的薬のロズリートレクを服用し、寛解している。

抗がん剤治療や分子標的薬の副作用、心臓の問題など、治療過程での詳細な経過が語られた。小林さんは、治療に専念しながらも仕事を復帰し、現在も定期的に通院している。

家族への想いや医師とのコミュニケーションの大切さが語られた。医師の丁寧な説明により、治療方針を把握し、治療に前向きに取り組んでいる様子が伝わってきた。

【闘病】タバコは20年前に辞めたのに… まさかステージ4の「肺がん」になるとは

「肺腺がんステージIV(4)」と診断された小林栄樹さんは当初、咳の症状があったものの、それ以外の自覚症状はほとんどなかったそうです。どのような経緯で病院を受診し、どのように治療を進めていったのか、そして、一家の大黒柱としての家族への想いなどを聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

編集部:

病気が判明した経緯について教えてください。

小林さん:

2021年、新型コロナウイルスが流行し始めた頃に咳の症状があり、病院へ行ったのがきっかけです。病院で新型コロナウイルスの検査をしてもらいましたが、陰性だったため最初は抗生物質を処方されて、様子を見ることになりました。しかし、しばらく経っても咳が収まらず、再び受診することになりました。そこでレントゲンを撮ってもらったところ、白いモヤがあり、すぐに大きな病院を紹介されました。そこで肺腺がんステージIV(b)と判断されました。

編集部:

自覚症状などはあったのでしょうか?

小林さん:

当初、自覚症状はほとんどなかったです。仕事が飲食業のため、咳がひどくなるとお客様に迷惑をかけてしまうと思い、「咳だけ止めてほしい」と先生にお願いしていました。もし、薬で一時的に咳が止まっていたら、再度病院に行くことはなかったと思いますし、レントゲンすら撮っていなかったのではないかと思います。まさか自分ががんだとは思ってもみませんでした。「がん」が頭をよぎるような自覚症状はなかったと思っています。

編集部:

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

小林さん:

まずは生検をしてがんを詳しく調べると言われ、CTやMRI、PETなど色々な検査を受けました。ちょうどこの時期、肺がんの遺伝子変異検査をする方が多かったようで、結果が出るまで3週間から1カ月かかると言われました。通常は、遺伝子変異に応じた分子標的薬→抗がん剤→免疫チェックポイント阻害薬療法となりますが、その間にがんが進行してしまうので、遺伝子変異検査の結果を待つよりも先に治療を開始したほうがよいとの話があり、抗がん剤→分子標的薬(現在[取材時]はここです)→免疫チェックポイント阻害薬療法の順番となりました。

編集部:

医師とのコミュニケーションは円滑でしたか?

小林さん:

抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬療法など色々な治療法の説明を受け、分からないことは教えていただいて、納得したうえで今できる治療を始めることができました。僕の場合は、先に抗がん剤治療を開始することになったわけですが、その後、遺伝子が判明した場合でも分子標的薬の治療を行うことは可能であるかなども、事前に確認させてもらいました。

編集部:

遺伝子変異検査の結果はいかがでしたか?

小林さん:

結果は、「ROS1遺伝子異常※」となり、抗がん剤治療の次の治療として「分子標的薬」が使えることになりました。まずは抗がん剤が効いてくれていたので、しばらくは様子見となりましたが、抗がん剤が効かなくなっても次の治療(分子標的薬)があるということは心の支えとなりました。

※ROS1遺伝子異常 細胞が増殖したり、新しい機能を持った細胞に変化したりするときに働くROS1遺伝子がほかの遺伝子と融合して生じた異常な遺伝子のこと。

編集部:

抗がん剤治療は順調に進められたのでしょうか?

小林さん:

「アリムタ」+「シスプラチン」の2クール後、心臓に水が溜まっていることがわかり、抗がん剤の影響の可能性が高いとのことで、「アリムタ」+「カルボプラチン」に変更になり、2クール行ったあとに「アリムタ」のみとなりました。主な副作用は、気持ち悪さ、倦怠感、口の中が気持ち悪いという症状で、「アリムタ」単体になってからは、だいぶましになりました(少しですが脱毛もありました)。初めの化学療法は入院が必要でしたので仕事はしばらく休みを取り、治療に専念し、「アリムタ」単体になったころから仕事を再開し始めました。

編集部:

抗がん剤の効果はあったのでしょうか?

小林さん:

はい。効果があったのでしばらく様子を見ていたのですが、2022年8月(抗がん剤を始めて1年1カ月)に耐性ができてしまったことがわかり、現在も服用している分子標的薬の「ロズリートレク」に変更になりました。このときの副作用が味覚障害と頭痛で、甘いものが苦く感じ、職業柄(飲食業)大変でした。現在も「ロズリートレク」を朝2錠服用し、仕事をしながら通院しています。そして2023年9月に、先生より「寛解しています」とのお話をいただきました。一時期心臓の動きが良くないとのことで循環器内科も受診しましたが、こちらは薬で改善が見られ、現在は呼吸器内科と循環器内科で治療を続けています。

編集部:

心臓の動きが良くなかったのは、なぜでしょうか?

小林さん:

心臓自体の動きも悪く、先生に調べていただきましたが原因不明と言われました。きつい抗がん剤を使用したので弱まったのかもしれません。