ドンキ「情熱価格」の秘密 おもしろ家電が生まれるアイデアの源泉とは

AI要約

ドン・キホーテのPB商品「情熱価格」シリーズは、市場にはない特徴的な家電アイテムを展開しており、商品開発において差別化を図っている。

「情熱価格」の商品は、高い風量や独自の機能を持ちながらも低価格で提供され、家電量販店とは異なる独自性を打ち出している。

商品企画では、核となる機能を明確にし、その機能に特化することで尖った商品を迅速に開発する仕組みが取られている。

ドンキ「情熱価格」の秘密 おもしろ家電が生まれるアイデアの源泉とは

当たり付き乾電池やスマホと連携するカメラ搭載ワイヤレス耳かき、クールな見た目の電動アシスト自転車など、ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)のPB商品「情熱価格」シリーズはどこか面白い特徴を持っている。家電メーカーでもなく、家電量販店とも少し違う、小売り店舗ドン・キホーテのオリジナル商品だ。

“驚きのない商品は発売しない”をコンセプトに掲げる情熱価格の家電アイテムは、どんなアイデアから生まれるのだろうか。ドン・キホーテ PB商品開発部の今井潤(いまいじゅん)氏、柄澤喜行 (からさわよしゆき)氏、川上知大(かわかみともひろ)氏に話を聞いた。

――「情熱価格」といえば一味違った商品や尖った機能の商品が多いイメージがありますが、意識していることは。

今井氏:

市場にある商品との差別化は確実に図っていきたいと意識しています。例えば、2024年の夏家電のコンセプトである「ド風量」シリーズは、“大風量の扇風機”というだけなら、方向性の近い商品も市場にはあります。ただ通常、日本向けの商品はその製品が出せる最大の風量は必要ないという(製造工場や発注側の)判断でリミッターをかけて商品化する場合が多いんですよ。今回の「ド風量」シリーズでは従来より強い風を実現すべく、安全性を担保した上でリミッターを外し、大風量を突き詰めて開発しました。

それと商品パッケージの工夫ですね。製品だけだとお客様に響かないところがあるので、「情熱価格」のパッケージは「ド」のロゴと、商品の特徴を端的に伝えるデザインで、しっかりお客様に伝えることを心がけています。

川上氏:

あとは、家電量販店と我々は主戦場が違っているので、我々しか表現できない機能を意識しています。戦う場所を変えるため、量販店では大風量やマイナスイオン機能を高価格帯で出していても、我々は同じ機能を持たせながら低価格で出す。

例えばドン・キホーテのイメージに合うゴテゴテに光るスピーカーなど、量販店だとブレーキを踏んじゃうような機能にもチャレンジしてやっていっています。小さい規模の会社ではないですが、開発スピードを意識していますね。お客様が求めているものを、いかに早く形にするかは常にアンテナを張っています。

――尖った商品というものは家電メーカーでも特に検討していると思いますが、市場にたくさん出回るものではないと思います。「情熱価格」ではなぜ尖った商品が高頻度で商品化できるのでしょうか。

柄澤氏:

企画にあたってはまず、「核」となる機能はどこなのかを考えるんですよ。例えばドライヤーだったら、ドライヤーの核となるべき機能は「髪の毛を乾かすこと」だと思うんです。開発の段階でそこがブレてしまうと、最終的に作りたいものもブレてしまう。開発メンバーは全員そこを癖づけるようにしています。

この「核」となるべき機能を突き詰めるために、どんな機能を載せて、どんな機能を省けばいいのか。例えば、髪を素早く乾かすためには風量を限界まで上げる必要がある。そこに集中特化して企画します。開発メンバーは全員その視点を持ち、パートナー会社(商品を製造するメーカーや工場)も同じ考え方で製造していただいています。だから、「核」の部分に集中特化したものがスピーディに生まれる仕組みになっていると思います。