Arm、「CPU+GPU」の新プラットフォーム「Arm Computer Subsystem For Client」を発表

AI要約

アームは30日、モバイル機器向けの新しいプラットフォーム「Arm Computer Subsystem For Client」(CSS for Client)を発表。

今回のプラットフォームでは、CPUとGPUを1つのモジュールとして提供し、高いパフォーマンスと省電力性能を備えている。

現行のアプリケーションの最適化や新しいAI関連のアプリケーションについても対応しており、アームプロセッサーに最適化されたライブラリーを提供していく方針。

Arm、「CPU+GPU」の新プラットフォーム「Arm Computer Subsystem For Client」を発表

 アーム(Arm)は30日、モバイル機器向けの新しいプラットフォーム「Arm Computer Subsystem For Client」(CSS for Client)を発表した。

 今回のプラットフォームでは、CPUとGPUを1つのモジュールとし、全体を最適化したサブシステムとして提供することもできるという。

■ 高いパフォーマンスと省電力性能

 CPUは、AI利用を想定した「Armv9.2」アーキテクチャー準拠の物を搭載しており、セキュリティ性能も強化されている。GPUについても、電力効率が優れたものを採用しており、低消費電力で高性能なAI処理が期待できる。

 製造プロセスは、3nm製造プロセスの実装を見越した設計を実施している。

 一方、ソフトウェアでは、モバイル向けのAndroidを中心に、LinuxとWindowsをサポートしている。

 アームではとりわけAndroidプラットフォームに注力しているといい、今後さまざまなアプリケーションでAI機能が搭載されていくことが予想されていると指摘。今回の「CSS for Client」発表に合わせて、開発者向けにライブラリーを用意するという。

 搭載されるCPU「Cortex-X925」は、Cortex-Xシリーズの最新モデルとなるCPU。2023年の一般的なハイエンドモデルのAndroid端末と比較して、シングルスレッドで+36%、AIパフォーマンスは先代モデルの「Cortex-X4」と比較して+41%、性能向上が図られている。また、プライベートL2キャッシュは最大3MBまで利用できる。

 GPUは、「Immortalis-G925」を搭載。先代モデルの「Immortalis-G720」と比較して37%の電力パフォーマンス向上と、34%のAI推論の高速化、ゲーミングに必要なレイトレーシング機能を最大52%向上させている。

 今回採用のプロセッサーはともに電力効率の向上が図られており、スマートフォンなどで高負荷ゲームを楽しむシーンなどを鑑みると非常に重要な指標の一つになるとしている。

■ これから登場するアプリの最適化

 現在利用されているアプリケーションの多くは、アームプロセッサー向けに最適化されており、今後も最適化されるアプリケーションもあることから、既存のアプリケーションについては順調に最適化が進められているという。

 一方、これから登場するであろうAI関連の機能を使ったアプリケーションは、全く新しいアプリケーションとして登場することが予想されており、この新しいアプリケーションをどうするかという新しい問題が発生していると指摘する。

 現行のスマートフォンでは、AI処理のうち70%はまだCPU上で実行されているという。アプリケーションの開発においては、CPUでの実行に最適化されたライブラリーを用いてアームプロセッサー上で動かしているのが現状だという。

 今回、同社ではアームプロセッサーに最適化されたライブラリーを用意した。既存のアプリケーションだけでなく、新しいアプリケーションについても、アームプロセッサーのサポートを加速化させていくとしている。