Salesforce、AIを搭載したビジュアル分析プラットフォーム「Tableau Einstein」を発表

AI要約

米SalesforceはAI機能を搭載したビジュアル分析プラットフォーム「Tableau Einstein」を発表。

Tableau Einsteinは、データ活用とインサイトの推進を支援し、さまざまなチームに戦略的な意思決定を可能にする。

AIエージェントの活用やデータの自動化が業務の効率化を促進し、全社的な可視性と信頼性を提供。

Salesforce、AIを搭載したビジュアル分析プラットフォーム「Tableau Einstein」を発表

 米Salesforceは現地時間5日、自立型AIエージェントのスイート「Agentforce」を含む、再構築されたAIを搭載したビジュアル分析プラットフォーム「Tableau Einstein」を発表した。

 Tableau Einsteinは、データドリブンな業務において拡張性、効率性、価値向上を求める企業に対して、ビジネスインテリジェンス(BI)とアナリティクスの機能を提供する。業務フロー全体にデータとインサイトをインテリジェントに組み込んで設計されているため、データを活用したアクションの推進が可能になる。

 また、Tableau Einsteinは、Salesforceプラットフォーム上に構築されているため、あらゆるチームが分析によるインサイトを活用して、より迅速かつ効果的に戦略的な意思決定を行えると説明。さらに、Salesforceの信頼性とプライバシーに対する継続的な取り組みにより、Tableauにも一層安全な基盤が提供され、あらゆる地域における規制に準拠したグローバルなコンプライアンスが加速されるとしている。

 Tableau Einsteinにより、データアーキテクトやアナリストは、オーサリングフローに統合されたエージェントを活用してセマンティックモデルを構築し、推奨されるオブジェクト間の関係を自動的に適用してコンテキストを作成し、定義を補強できる。新しい専用のマーケットプレイスでは、開発者がアプリや分析アセットをより簡単に作成、再利用、共有できるようになり、Tableau Publicを拡張できる。

 また、Agentforceにより、Tableau Einsteinは、これまで必要なインサイトを得るためにデータアナリストのインサイト抽出を待たなければならなかったビジネスユーザーにも恩恵をもたらす。例えばサービス担当者は、Service Cloud上でカスタマイズ可能な最新のダッシュボードを直接取得し、エスカレーションが必要なサポート案件の表示や、チームメンバーの減少を含めた個人の指標や目標のトラッキングなどができる。

 同様に、Tableau Einstein APIを利用することで、人事担当者は指定の従業員管理ツールにログインして、全部門に共通する離職率のメトリクスを表示し、将来必要となる人員数を簡単に特定できる。その結果、誰もがドラッグ&ドロップのワークスペースで、データソース、モデル、ビジュアライゼーション、ダッシュボードなどの複数のアセットを使ってコラボレーションできるようになり、全社的な可視性と信頼性を確保できるとしている。

 Salesforceでは、ITリーダーの81%はデータのサイロ化がデジタルトランスフォーメーションの妨げになっていると回答しており、ビジネスリーダーの94%はデータからさらなる価値を得るべきだと考えているという調査結果を紹介。さらに、一般的な企業において、「意思決定を行うために現在データを使用している」と回答した従業員はわずか30%にとどまっているという。Tableau Einsteinは、Salesforceやサードパーティ製アプリを含む業務フローの中で、コンテキストに沿ったデータやインサイトを提供し、データ活用の効率化を支援するとしている。

 Tableau Einsteinは、Salesforceから共有されたメタデータフレームワークを活用して、セルフサービス性と俊敏性を後押しするよう設計されている。最新の分析のための自律型および支援型エージェントが、Tableauの主要ソリューションであるTableau Agent(旧:Einstein Copilot for Tableau)やPulseで提供可能になる。PulseはAIを使用して重要なメトリクスを自律的に特定し、Slack、メール、Salesforceのクラウド製品など、ユーザーが利用するアプリケーション内で、コンテキストに沿ったメトリクスを表示する。

 Tableau AgentとPulseにより、ユーザーは支援機能を使用して自然言語でデータに質問でき、視覚的かつ説明的な回答がアプリケーション内のアクションに変換される。分析担当者は、何百もの構築済みAPIエンドポイントでアクションを推進する組み込みのワークフローを強化できる。Salesforceのクラウド製品と組み合わせると、Tableau Einstein はすぐに使えるメトリクス、予測AI、AIエージェントを備え、将来に向けた傾向を予測するだけでなく、その予測に基づいて実行可能なステップを提案する。

 さらにTableau Semanticsが、AI、AIエージェント、アナリティクスのデータにビジネスのコンテキストと意味付けを行い、関連データの発見や理解を向上させる。これにより、ユーザーがメトリクス、ディメンション、リレーションシップ、目標を作成し管理するための、柔軟でガバナンスの効いた環境を提供する。従来のBIとAIを組み合わせることで、顧客のビジネスに対する理解を基盤としたインサイトの一貫性と信頼性が生まれる。例えば、サービス担当者の顧客アカウントに関するインサイトは、最近の電話の履歴、製品購入、返品などの記録を基盤として生成されるため、Agentforceが微妙なニュアンスを理解した対応を行う能力が向上するとしている。

 あらゆるタッチポイントでリアルタイムのデータを安全に拡張し、つながりと一貫性のあるエクスペリエンスを実現する。Data Cloudとの深い統合、メタデータ主導の自動化、最適化(データ準備とデータ品質プロセスを含む)により、あらゆるチャネル、あらゆる部門のワークフローに連携できる。これにより、マーケティング、セールス、サービス、その他の部門において、一貫性、カスタマイズ性、信頼性のあるメトリクスにアクセスして再利用することが可能となり、デジタル広告から決済プロセスに至るまで、あらゆるインタラクションにわたって、顧客のライフサイクルと満足度を全体的かつ詳細に把握できる。

 API駆動型のオープンなプラットフォーム全体で構成と再利用が可能なアセットにより、企業はあらゆるユースケースにTableau Einsteinを構築でき、他のサードパーティアプリケーションにも拡張できる。また、新しいマーケットプレイスの機能により、データモデルや分析アセットを企業内で共有、発見、使用することや、拡張されたTableau Publicを経由して利用できるようになる。サイロ化した組織の中でデータを活用するのではなく、社内で同僚が作成したアセットを共有して再利用し、作業をスピードアップできるとしている。

 Tableau Einsteinの一部は、Tableau+を通じて既に利用が可能。将来的には、独立製品としてだけでなく、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud、Commerce Cloudといった他のSalesforce製品にも統合される予定。