シリーズ史上最も薄くなったApple Watch Series 10は節目の年に何を目指したのか

AI要約

iPhone 16シリーズ、AirPods 4と並んで発表されたApple Watch Series 10は、新要素を盛り込んで登場している。

睡眠時無呼吸状態の検出機能やディスプレイの進化など、注目すべきポイントが多数存在する。

アップルは健康機能や生活支援機能を通じて、人間の生活をデジタルの力で豊かにする取り組みを行っている。

シリーズ史上最も薄くなったApple Watch Series 10は節目の年に何を目指したのか

 iPhone 16シリーズ、AirPods 4と並んで発表されたApple Watch Series 10は、第10世代という節目のタイミングで、シリーズ史上最も薄い筐体、チタニウムケース、睡眠時無呼吸状態の検出といった新要素を盛り込んで登場している。

 最大とも言える注目機能が、睡眠時の無呼吸状態を計測できるというもの。Apple Watch Series 10で登場した新機能だが、アップデートにより、Apple Watch Series 9、Apple Watch Ultra 2でも利用できる。

 睡眠時の無呼吸症状は、世界中で10億を超える人に影響があると言われており、そのうちほとんどが、自覚症状がないとされている。気づかずに放置していると、高血圧、心疾患などのリスクが高まるとされる。

 Apple Watchでの計測は加速度センサーにて、30日ごとに呼吸の乱れのデータを分析し、一貫して睡眠時無呼吸の兆候が見られる場合に、ユーザーに通知が届く。

 計測時間が必要なため、今回のレビューでは詳細を紹介しきれないが、重要なのは、このデータを医療機関に持ち込み、医師に相談するために利用できるという点だろう。

 スマートウォッチで健康管理のサポート機能が搭載されて久しいが、医療機関にて使えるデータとなると、そのハードルは高い。多くのスマートウォッチの健康機能で、「日本では非対応」の文字を何度も見た人も多いはずだ。

 もちろん、症状が出る前に定期的に病院に行き、身体の状態を常に把握しておくことがベストだろうが、全ての人が同様に動けるわけではない。あくまでサポート機能であったとしても、Apple Watchをつけていれば、ある程度身体の状態を把握しておけるのであれば、その意義は非常に大きいものだ。

 本記事の趣旨とはズレるが、Apple Watch Series 10が発表されたイベントには、AirPods Pro 2にて、軽から中程度の難聴に対し、リスニングをサポートする機能をアップデートで追加することが発表されている。

 また、日本でも発売されているApple Vision Proでは、人間の視覚を最大限使い、現実世界を拡張するような体験ができる。聴覚、視覚へのアプローチ、健康的な生活のサポートと、アップルはただのデバイスメーカーにとどまらず、人間の生活をデジタルの力で豊かにすることを目指していることがわかる。

 このように2024年9月のイベントを振り返ると、人体機能を追求することで、今後どのようなデバイス、ソフトが登場するのか、ワクワクさせられる。

 さて、Apple Watch Series 10に話を戻そう。冒頭でも触れた通り、本モデルは歴代最薄となる厚さ9.7mmで、大きいモデルが46mm、小さいモデルが42mmとなる。質量はサイズやケースによって異なるが、最重量(46mm、チタニウムケース)でも41.7gと軽い。

 Apple Watch Series 9の最重量モデルが、ステンレススチールを使用していることで、45mmながら51.5gであり、約10g程度の軽量化は、著しい変化だろう。スマートフォンと違い、常に手首に着けているデバイスだと考えると、この差は歴然だ。

 今回はアルミニウムケースを試しているが、質量はGPSモデルが36.4g、GPS+Cellularモデルが35.3gとなっている。仕事中もつけている機会が多いが、これくらいの質量であれば、個人的にストレスはない。

 何より、薄くなったことで、ふとした時にApple Watchを何かにぶつけてしまうリスクが低減している点に好印象を抱いている。

 ディスプレイの進化ポイントは、サイズだけではない。画面輝度は前モデルから変わらず、最大2000ニトだが、斜めの角度からの視認性が40%向上している。スマートウォッチは、スマートフォンよりも素早く確認するシーンが多いデバイス。

 タイピング中など、ディスプレイにちらっと目線を向けるだけで、情報を確認したいというシーンも考えると、視野角がアップした恩恵は大きいと感じる。

 また、常時表示ディスプレイをオンにした際、画面を視認していない状態では、暗い画面に切り替わるが、この状態で画面が書き換わる速度が、1秒間に1度となった。

 これまでは1分間に1度だったため、秒単位の表示ができなかったが、Apple Watch Series 10では、タイマーやワークアウト時に、秒単位まで確認できるようになっている。

 なお、個人的に期待していたバッテリー持続時間の延長だが、前モデルと同様に最大18時間となっている。充電速度は上がっており、約30分で最大80%まで充電できるようになったので、お風呂に入って支度をしている間などで、フル充電になる。

 こまめに充電する習慣をつければ、使用上問題はないのだが、朝から仕事で外に出て、そのまま夜は飲み会に参加するといった日には、どうしても物足りなさを感じる。特にApple Watchでの決済をメインに据えていると、思わぬタイミングで困ることがあるので、もう少し持続時間が延びることを願っている。