「生成AI搭載」は当たり前、ERPをもっと使いやすく--SuiteWorld 2024

AI要約

Oracleは2024年、Oracle CloudWorld 2024とSuiteWorld 2024を合同開催し、活況を呈している。

NetSuiteの基調講演では、UXの重要性や新しいAI製品の発表が行われた。

Goldberg氏はSuiteAnalytics Assistantを最もエキサイティングな機能として挙げ、ERPシステムの使いやすさについて語った。

「生成AI搭載」は当たり前、ERPをもっと使いやすく--SuiteWorld 2024

 Oracleは米国時間9月9~12日、「Oracle CloudWorld 2024」と「SuiteWorld 2024」を米ラスベガスで開催している。同社は毎年両カンファレンスを別個で開催していたが、2024年は合同で行い、これまで以上に活況を呈している。

 初日の9日には、NetSuiteの基調講演が開催された。特設テントでエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」が圧巻のパフォーマンスを見せた後、創設者でエグゼクティブ・バイスプレジデントのEvan Goldberg(エバン・ゴールドバーグ)氏が登壇した。

 Goldberg氏は自然界の体系とビジネスを結び付け、「自然界でもビジネス界でも、変化は唯一不変なるものである。われわれは、唯一絶対的に頼りになるのは、どのように組織を運営し、何が起きても対応できるようにすることだと学んだ。変化の中で生き残り、成長する方法を見つけなければならない」と述べた。

 同氏は「過度に複雑なテクノロジーは、最悪の場合成長を妨げかねない」とした上で、Oracleのアプリケーション設計システム「Oracle Redwood Design System」のユーザー体験(UX)をサービス全体で提供すると発表した。これにより、顧客はタスクをより効率的に実行できる。

 NetSuiteは既に、ビジネス業績管理(EPM)ソリューション「NetSuite Enterprise Performance Management(EPM)」とデータストレージ/分析ソリューション「NetSuite Analytics Warehouse」に、同システムのUXを搭載している。

 OracleでUXマネジメントのシニアバイスプレジデントを務めるHillel Cooperman(ヒレル・クーパーマン)氏はゲストとして登壇し、「スマートフォンの普及でソフトウェアの水準が上がった時、どうすればエンタープライズソフトウェアをコンシューマー向けソフトウェアと同等、あるいはそれ以上に良いものにできるかを模索した」と振り返った。

 加えてGoldberg氏は、顧客がNetSuiteのサービス全体から多くの価値を得られるよう、複数のAI製品を発表した。

NetSuite Financial Exception Management:財務上の例外をAIで自動検出することで、効率性を高め、リスクを軽減する。顧客は状況を迅速に把握して調査が必要な活動を特定し、実用的なインサイト(洞察)を得られる。これにより、期末の時間的制約に先んじて問題を解決できるという。

NetSuite SuiteAnalytics Assistant:ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「SuiteAnalytics」と生成AIを組み合わせることで、顧客は自然言語インターフェースを介してファイルから情報を抽出し、視覚的なレポートを作成できる。これにより、意思決定や改善、深いインサイトの獲得が可能となる。例えば、顧客はアシスタントに対して、買掛金の経年変化や残高上位5社の取引先に関するレポートを作成するよう要求できる。これに対し生成AIは、要約と重要なポイントをすぐに提供する。

NetSuite Prompt Studio:管理者や開発者が、AIが生成する応答の形式やトーン、創造性を設定できるようにする。生成AIのプロンプト設定をより細かく制御するため、コンテンツの質が向上し、エンドユーザーの生産性も高まる。

SuiteScript APIのための生成AI:生成AI機能をNetSuiteの拡張機能やカスタマイズに組み込むことで、顧客は最新のAI機能を迅速に活用し、NetSuiteのサービスからより多くの価値を得られる。このツールにより、顧客はNetSuiteのすぐに使えるAI機能をアプリケーション「SuiteApps」の生成AI機能で素早く補完し、自社独自のビジネスニーズを支援する。

Oracle Code Assist SuiteScript optimization:開発者がAIコードコンパニオンを活用してNetSuiteで拡張機能やカスタマイズを迅速に構築することを実現し、組織の生産性を向上させる。開発者は、迅速かつ容易に定型コードを作成し、単体テストを構築・実行することで、ドキュメントを生成できる。コーディングに関する質問の回答も簡単に得られるようになる。

NetSuite Advanced Customer Support(ACS) AI Playbook:サービス全体を通して、最新のAI機能の構成、最適化、作成を支援する。その結果、新しい機能を迅速に導入し、効率を高め、インサイトを拡大し、意思決定の強化を支援する。

 基調講演後に実施された日本向けグループ取材で、一押しの機能を聞くとGoldberg氏は「(SuiteAnalytics Assistant上の)『Ask Oracle』が最もエキサイティングだと思う」と述べた。「NetSuiteには、優秀なファイナンシャルアナリストがいる。何でも聞ける素晴らしい人材である。彼はどこかへ行って、素晴らしい答えを持って戻ってくる。全ての企業がこのような人材を擁しているわけではなく、小規模な企業であれば特にそうだろう」(同氏)

 基調講演でRedwood Design Systemの説明に時間を割いた背景については「ERP(統合基幹業務)システムは長い間、非常に使い勝手が悪かった。われわれ自身、できる限り簡単に利用できるよう努めているが、OracleがRedwood Design Systemで実施している取り組みは、ERPシステムを実利用する上での大きな飛躍である」と説明した。

(取材協力:日本オラクル)