アバランチ大型アップグレード「Avalanche9000」実施へ、ブロックチェーン立ち上げ容易に

AI要約

アバランチは、レイヤー1ブロックチェーンのアップグレードを発表し、サブネット構築の障壁が軽減される

アップグレードにより、サブネットがプライマリネットワークから切り離され、運用コストも削減される

アバランチのアップグレードにより、新たな改善提案も実装される予定である

レイヤー1ブロックチェーンのアバランチ(Avalanche)が、大型ネットワークアップグレードイベント「Avalanche9000」を実施する予定だ。アバランチ開発元の米アバラボ(Ava Labs)が9月4日に発表した。

なお「Avalanche9000」は、今年の10月16日から18日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催予定のアバランチサミットラテンアメリカ(Avalanche Simmit LATAM)で行われるキックオフイベントのタイミングでリリースされるとのこと。

アバラボの発表によると「Avalanche9000」は、アバランチがこれまで行なってきたアップグレードの中で最も大きなものになるという。「Avalanche9000」では、L1ブロックチェーンの立ち上げを容易にする「エトナ(Etna)」アップグレードや、開発者のインセンティブに関する変更、マルチチェーンサポートの強化などの複数の更新が含まれるとのこと。

なお、この中で主要となるアップグレードは「エトナ」だ。

同アップグレードによりサブネットのバリデーターの仕組みがアバランチのプライマリネット(C・Xチェーン)から切り離され、サブネットは独自のL1ブロックチェーンとして稼働することになる。

そのため現在アバランチのサブネットを構築するために必要な2000AVAXのステーキングが不必要になる。

またこれまでサブネットのバリデーターは、アバランチのプライマリネットーワークのバリデーターを並列して行う必要があった。しかし「エトナ」実装後は、サブネットのバリデーターとしてのみ稼働すれば良くなるため運用コストが下がるという。

これによりサブネット構築のための金銭的な障壁が小さくなり、今後より多くのサブネットが立ち上げられることが想定されている。

さらにネットワークが切り離されるため、プライマリネットワークが渋滞した際に悪影響を受けなくなるという障害に対する耐性が向上するメリットもあるとのこと。そして、これによるガス代の大幅削減も期待されている。

なお同アップグレードを機に、現在のサブネットモデルはレイヤー1ブロックチェーンズ:Layer 1 blockchains(L1s)へと概念・名称が変更される予定だ。

ちなみに同アップグレードでは、ACP(Avalanche Community Proposals:アバランチ改善提案)のうちACP-77を中心とした計7つの提案が実装される予定である。またこれまで通り、2000AVAXをステーキングする形式でのL1s立ち上げも可能となっている。

●アバランチについて

アバランチは異なるデータ構造を採用するCチェーン、Pチェーン(Platform Chain)、Xチェーン(Exchange Chain)の3つのチェーンで構成されたブロックチェーンであり、それぞれで重要機能の役割を分担している。

Cチェーンではスマートコントラクトの実行が可能なため、dAppsの構築に利用される。またPチェーンはアバランチにおけるメタデータを記録するチェーンとなっており、AVAXのステーキングやバリデーター、サブネットの管理に用いられる。そしてXチェーンは資産の作成およびトレードに特化したチェーンとなっている。

これら3つのチェーンは総合して「プライマリーネットワーク」と呼ばれている。

またアバラボでは、アバランチチェーンを利用した独自ブロックチェーンを構築できる機能「サブネット」を提供している。なお「サブネット」はプライマリーネットワークのCチェーンによって管理されている。そのため「サブネット」のバリデーターは、自身の「サブネット」の運用とCチェーンの同期をとる必要がある。