岩手の水族館で摩訶不思議な「南部ダイバーの一夜干し」が目撃される→実は120年をこえる歴史を持つ潜水技術について話を聞いてみた

AI要約

久慈地下水族科学館もぐらんぴあで南部ダイバーの一夜干しが行われている

南部もぐりは特殊な潜水技術であり、その歴史と活用方法について紹介

スーツの干し方や使用時の注意点についても解説

岩手の水族館で摩訶不思議な「南部ダイバーの一夜干し」が目撃される→実は120年をこえる歴史を持つ潜水技術について話を聞いてみた

一夜干し、それは魚介類に塩を振って一晩外に干した干物のこと。

アジやサバ、イカなどが使われることが多いとされていますが、久慈地下水族科学館もぐらんぴあ(岩手県久慈市)ではなんとも珍しい「南部ダイバーの一夜干し」が目撃されることがあるようで……?

8月15日、同館の公式X(旧Twitter/@moguranpiaqua)に1枚の写真が投稿されました。

写真には淡いオレンジ色と濃いオレンジ色の色合いが目にも鮮やかな、2つのダイビングスーツが壁に立てかけられている様子が写っています。

こちらのスーツは「南部もぐり」という、岩手県洋野町に伝わる伝統的な潜水技術に使われる潜水服。

南部もぐりは特徴的なヘルメットを着用して潜水、水中で作業を行うヘルメット式の潜水技術です。頭部につながったホースから常時空気が送られる仕組みになっており、長時間の潜水が可能なのだとか。

同館では土・日・祝日に「南部もぐりの潜水実演」を行っていて、南部ダイバーさんの技術を間近で見ることができます。

今回一夜干しされていたスーツはそういった作業の兼ね合いの中、早く乾かす必要があり屋外で干されていたのだそうです。

南部もぐりは明治31年、函館から横浜に向っていた貨物船『名古屋丸』が沈没座礁したことをきっかけに誕生した、120年をこえる歴史を持つ技術。

南部もぐりの技術を持つダイバーさんは座礁・沈没した船の調査や引き上げ(サルベージ)、港湾土木、その他の土木工事、海洋調査、水産業など水中における作業を幅広く行い、国内外で活躍しているのだそうです。

南部もぐり発祥の地である洋野町には日本でも珍しい潜水士を養成する高校「種市高校」があり、南部もぐりをはじめとしたさまざまな技術をもった潜水士を輩出しています。

同館の南部ダイバーさんが実演で潜るための訓練は、同学校の教員の方と生徒さんに教えていただいたのだとか。

――写真の撮影日と撮影場所を教えてください。

「8月9日、スタッフ用出入口前にて撮影しました」

――南部ダイバーさんの一夜干しは、一般のお客様も見える場所で行われているのでしょうか。

「一般公開しているわけではないですが、臨時駐車場から歩いてくるときにスタッフ出入口前も通るので運が良ければ見ることができます」

――スーツは使用するたびに洗っているかと思いますが、雨の日は室内に干すのでしょうか?

「基本的には添付させていただいた写真のように、水槽裏のバックヤードで干しています。ただ、水族館が地下にあるため、夏場など湿気が多い時期が続くとスーツにカビが生えてしまいます。そのため、スーツの洗浄もかねながら定期的に風通しの良い所に干します」

「通常であれば日陰でじっくり干すのが良い(ゴムの劣化などを防ぐため)のですが、今回は作業の兼ね合いで早く干す必要があったため、このように天日干しをしておりました」