アジア太平洋地域で急拡大する生成AI支出、年間成長率ほぼ100% 普及の鍵は「教育」か?

AI要約

アジア太平洋地域は生成AIの導入で急速に成長しており、2027年までの支出額は260億ドルに達する見通し。

中国は引き続き生成AI分野で主導的な立場を維持し、日本やインドも急速な成長が期待される。

シンガポールやマレーシアでは、AI分野において大規模な国家予算投入や国際企業の投資動向が注目されている。

アジア太平洋地域で急拡大する生成AI支出、年間成長率ほぼ100% 普及の鍵は「教育」か?

生成AI市場の成長を牽引するのはどの地域か。やはり北米地域が強い印象だが、アジア太平洋地域における成長は無視できない。そのことがいくつかの調査によって明らかになっている。

その1つ、IDCが2024年4月16日に発表した最新レポートによると、アジア太平洋地域は生成AIの導入で目を見張る盛り上がりを見せていることが判明した。

同地域の2027年の生成AI関連支出額は、ソフトウェア、サービス、ハードウェアを含めて260億ドルに達するというのだ。域内における2022年から2027年までの年平均成長率(CAGR)は95.4%と、グローバルの成長率73.3%を大きく上回る。これに伴い、アジア太平洋地域では、AI支出全体に占める生成AI支出の割合も2024年の15%から、2027年には29%に拡大する見込みだ。

IDCのアジア太平洋地域ビッグデータ&AIリサーチ責任者であるディーピカ・ギリ氏は、「アジア太平洋地域は北米に匹敵する成長率を記録するだろう。企業が生成AIアプリケーション向けにデータとインフラプラットフォームの開発に積極的に投資しているためだ。

今後2年間で生成AIへの投資がピークに達し、その後は安定期に入ると予想される。中国は引き続き生成AI分野で主導的立場を維持し、日本とインドが最も急速に拡大する市場になるだろう」とコメントしている。

ここでは特に言及されていないようだが、域内の動きを把握するには、シンガポールとマレーシアの動向も注目すべきだろう。

2024年2月16日、シンガポール政府は、今後5年間にわたりAI分野に10億シンガポールドル(約1,150億円)の国家予算を投じる計画を明らかにしたのだ。2023年末に刷新したAI国家戦略「National AI Strategy 2.0(NAIS 2.0)」に基づくもので、GPUの確保、AI開発センターの開設、人材育成、企業誘致などを加速する計画だ。

一方、マレーシアに関しては、2023年12月にNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが同国を訪問、その際、マレーシアがAI領域における「製造ハブ」になる可能性があると発言したことで注目を集めた。ロイター通信12月8日の報道によると、NVIDIAがマレーシアでのAIインフラ構築プロジェクトにおいて地元複合大手YTLとの提携交渉を進めており、その投資額は43億ドルに上る可能性があるという。

さらに2024年5月には、マイクロソフトがクラウドとAIに関して、今後4年にわたりマレーシアに計22億ドルを投じる計画を明らかにするなど、数十億ドル単位の投資計画が次々と持ち上がっている。